啓林堂書店 メールマガジン

▼ バックナンバー









 
啓林堂メールマガジン
12月号 2017.12.1
啓林堂書店 http://www.books-keirindo.co.jp
動物飼育員の奮闘記
「動物翻訳家」(集英社文庫)  「環境エンリッチメント」という言葉を皆さんはご存じだろうか。これは動物園の飼育環境を充実させて動物たちの精神的、身体的な健康を向上させる取り組みのこと。私は本書を読むまでこの言葉を知らなかった。

 今回ご紹介するのは「動物翻訳家」(集英社文庫)。登場する動物園は、檻に閉じ込められ、動物たちが退屈そうにしているような従来的な動物園とは違う。動物たちができるだけ本来の姿で生き生きと生活できるように工夫された、魅力的な動物園だ。
 自然に近い形の動物園で、自然の姿の動物をお客さんにも楽しんでもらう。そんな動物園で日々、動物たちと真剣に向き合い接する飼育員が本書では登場する。

 飼育員は動物たちの事を日頃からよく見ている。
 動物は言葉を話せない。だから飼育員は、毎日の食事の量やわずかな様子の変化を機敏に感じ取り、日々の接し方を真剣に考える。群れで行動するような動物は、餌やりの時にも注意が必要だ。競争に不利な子どもや、高齢の動物には必要があれば優先的に餌を与えたりもする。
 その一方で、動物たちとは必要最低限の接触でいようと心掛ける。例えばペンギンのひなを孵した時の話。聞かれたことのある方も多いと思うが、人間が親だと分からないようにするため、親の姿をまねた着ぐるみや手袋を装着して、飼育員が餌を与えることがある。実質的な効果の程はあまりよく分からないようだが、これもいずれ大きくなったひなが、仲間の輪の中に入れないようなことがないように、と配慮したものだ。だから飼育員は自分の孵したひながどんなに懐いていても、いくら可愛いと内心で思っていても、撫でたり可愛がるようなことはしない。動物のことを誰より考えながらも、飼育員は動物たちと一定の距離を保つ。動物のためだからである。

 自然に近い形での展示。だが、これはあくまで動物たちが生き生きと過ごせるようにするための手段だ。本物の自然のような危険があってはならない。動物たちにストレスをなるべく感じさせてはいけない。だが、それゆえの思わぬトラブルが多数発生する。ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウ、キリン。本書に登場する動物は4種類。どうしたら彼らはより快適に過ごせるのか? どの章でも、より良い環境を模索する飼育員たちの苦労はつきない。

 読み進めていて思うのは、知っているようで私たちはあまり彼らのことを知らないということ。普段動物たちと接している飼育員の視点を借りて、私たちは新たな気づきを追体験できる。
 丘の上にいるペンギンをあなたは想像できるだろうか? なお、私はアフリカハゲコウのことを本書で初めて知った。

 読み終わった後は、紹介されている動物園に行ってみたくなる。あとがきのその後の話も必見。おすすめ!
今月の私の1冊
「なぜと問うのはなぜだろう」
【ちくまプリマー新書】  吉田夏彦 著 \756
なぜと問うのはなぜだろう 人は死んだらどこへ行くのか? 宇宙人はいる のか? 雪男は実在するのか? これらの答え は一つではない。いたら面白いと答える人もいれ ば、目に見えないのだからいない、と答える人も いる。人は皆、それぞれ違った立場で思考をし、 答えを出しているからである。
古い時代、哲学と科学とは、もともと一つのものと考えられていた。今聞くとこれらの話は突飛で滑稽に思えるかもしれない。だが、哲学も科学も元は人間の好奇心をみたすために、発展させられてきたものなのである。哲学とは何か? そんな問いを突き詰めていくと、時に想像以上の答えが用意されていることに我々は気づく。
小学生でも読めるようにと配慮された本書だが、それ以上の年代、大人でも十分読み応えがある深い内容のものとなっている。哲学に興味を持ち始めた人の入り口として本書は最適。
小学生、あるいはそれ以下の人たちが持つ疑問の中には、哲学につながるものもかなりある、と著者。哲学への入り口は意外にも私達の身近なところに転がっているのかもしれない。
思考のきっかけを与えてくれる名著、待望の復刊!
今月の私の一冊
ミニコラム「私と本」
≪今月の担当≫ 営業本部 部長 西田大栄
 つい先日、出張で東京に行った。
 出版社や書店の方にたくさんお会いしたが、「本が売れない・・・」「ベストセラーが無い・・・」と、厳しい話ばかりだった。
 暗い気持ちで打ち合わせの合間に「本の街」神田神保町を訪ねた。
 200件近い本屋は皆、とても賑わっていた。
 どの店先も個性を競って、自店の一押しをドン!と積んでいる。
 店主の目利きで勝負する街に元気をもらった。
 よし!うちも負けずに年末年始のオススメ本を大きく展開だ!
Chat & Chat
 気になった本、よくよく見るとカバーを新たにした新装版で思わずひやり。危うく持っている本を又買ってしまうところでした。
 
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(http://www.books-keirindo.co.jp/gaisyoubu.html)にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
 
 
□ おすすめ児童書 とんとんとめてくださいな
『とんとんとめてくださいな』 【福音館書店】  こいでたん/ぶん こいでやすこ/え
3匹のネズミがハイキングの帰り道で迷ってしまいました。
日は暮れるし、霧まで出てきて・・・さぁ大変! そんな時です。お家を発見!
今夜はそこに泊めてもらうことにしよう。だけど、家主は誰?
 
 
奈良・大和を愛したあなたへ □ 外商部おすすめの奈良本 最新12月号よりご紹介!
『奈良・大和を愛したあなたへ』 【東方出版】  千田稔/著
明治以降の著名人で、奈良を訪れた、もしくは奈良に関心を持った人々によって書かれた奈良愛にあふれた文に寄り添い、著者・千田稔がその人たちに手紙を寄せる形で、自らの深い奈良大和への愛を綴る。
言わば書簡風随筆集。全41篇を収録。
 
 
「おすすめ児童書」12月号は、12月初旬に更新予定です! お見逃しなく!!
▼登録内容・メールアドレスの変更
啓林堂書店のメールマガジンに登録されたメールアドレスの変更はできません。
お手数ですが下記URLをクリックし、 一度退会してから、新しいメールアドレスで再度登録してください。
http://www.books-keirindo.co.jp/member.html
▼お問い合わせ窓口
問い合わせフォーム⇒ http://www.books-keirindo.co.jp/common/postform.php
メール⇒ web@books-keirindo.co.jp
本のご予約・ご注文承ります。ご意見・感想・ご要望などお待ちしております。
発 行 (株)啓林堂書店  〒639-1007 大和郡山市南郡山町527  TEL/0743-51-1000
文 責 (株)啓林堂書店 〔外商部〕 上田輝美
啓林堂書店 ホームページ http://www.books-keirindo.co.jp
※本メールの無断転載を禁じます。 Copyright (C) 2017 Keirindo Syoten. All Rights Reserved.

ページTOPに戻る