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2月号 2018.2.1
啓林堂書店 http://www.books-keirindo.co.jp
わたしの名前は
わたしの名前は「本」  “これからわたしの物語をしよう。”
 これは本書の案内人の言葉だ。案内人はまず、私達読者に次のように伝える。
 “そのうち、粘土板や、アルファベットの発明や、美しい写本や、図書館などの話もすることになる。…(略)…しかし、わたしの物語はそのはるか昔から始まる。”

 昔、人々は言葉で物事を伝えていた。やがて、言葉で伝えていたことが、壁や地面に絵で描きつけられるようになる。さらに情報を正確に伝えるため、文字が生まれた。この文字を書きつける場所として登場したのが粘土板だった。
 こうして文字を残す手段を人々は得た。だが、粘土板には欠点もあった。重さがあるため、持ち運びに不向きだったのである。
 手軽さを求めた人々によって、語り手は時代と共に姿を変えていった。粘土板からパピルス、巻物――そして紙。長い年月を経て、語り手は今の私達にも馴染みの姿になり、人々が昔、言葉で誰かに物事を伝えていた頃よりもずっと正確に、より多くの情報を伝えるようになった。
 もう、皆さんは本書の語り手の正体にはお気づきだと思う。――『わたしの名前は「本」』(フイルムアート社)。

 ここまでの紹介の通り、「本」が本の歴史を語っていく構成になっているのが本書の特徴。語り手の「本」と共に、読者は「本」の歴史をたどっていくことになる。
 本の大量印刷を可能にしたのは印刷機だが、グーテンベルクの活版印刷機が初めて登場した時の衝撃は、まさに黒船来訪。「本」の興奮している様子がこちらにも伝わってきて楽しい。活版印刷よりしばらく時代を下り、輪転機が登場した時もかなりのインパクトだ。輪転機が見せつける印刷の速さは、目の前で輪転機が音を立てて回っている様子がありありと想像できるほど。「本」が私達読者に直接歴史を語りかけるというスタンスが、読者に心地よい臨場感を与えている。

 中でも印象深かったのが「羊の登場」という章。なぜ本に羊なのか? と疑問に思ったのも束の間、昔は本と羊におどろくような関係があったと教えられる。本書中盤に登場する、たくさんの羊がずらりと並んでいる挿絵のページにぜひ注目してみて欲しい。立ち読みでぱらぱらと見ている分には気づかない事実が、本文の中で語られている。
 昔は本1冊がかなりのぜいたく品だったと知ることができるエピソードになっている。羊が赤色で印刷されているのもポイント。
 本文を読む前と読んだ後で、挿絵の印象はかなり変わるだろう。ぜひ腰を据えてじっくり読んでみて欲しい。

 本を大事にする人ほど、読み終わった後もすぐに読み返せるよう、お気に入りの本棚や、机の引きだしの中にそっと置いておいておきたくなる1冊。読み終えた後は、表紙から背表紙、そして見慣れた帯まで、思わず本全体を見渡したくなる。帯のルーツはそこからだったのか! と、意外な誕生秘話にも思わず感心。おすすめ。
今月の私の1冊
「ひきこもれ ひとりの時間をもつということ」
【大和書房】  吉本隆明 著 \702
ひきこもれ ひとりの時間をもつということ コミュニケーションを重視する社会になって久しい。だが、著者はそんな社会の風潮にあえて疑問を投げかけ、ひとりの時間を持つことで自分を見つめる機会を設けることの大切さを訴える。確かに人はひとりでは生きていけないかもしれない。だが、間違えてはいけない。ひきこもりは“悪ではない”のだ。ひきこもりとは社会との関わり方のひとつの方法なのである――
著者から語られる言葉はどれも平易で優しいが、はっとさせられる気づきがある。常識は常識ではない。ひきこもり、というキーワードから、社会との関わり方を考え直すきっかけを与えてくれる。
今月の私の一冊
ミニコラム「私と本」
≪今月の担当≫ 学園前店 店長 澤田健吉
 書店で働くようになりかなりの年月が流れたが、学生時代より本を読まなくなったように感じる。社会人で時間が無くなったことが全ての要因ではない、読もうと思えば時間は作れるものだ。そこでなぜあまり読まなくなったのかと考える。
 書店に足繁く通った学生のころからしたら贅沢なことだが、本に囲まれている書店員という職業柄いつでも読めるという思いが強いからではないか。よく書店員になったら読書量が減ったということを他の書店員と話すことがあるが、それはそれで贅沢な悩みかもしれない。
Chat & Chat
 新刊のページの端でよく指を切ります。痛みがある時はまだいいのですが、薄皮一枚を切っていたと後で気づいた時はかなりひやひやします。気をつけないと本に血がついてしまうからです。
 忙しい時はどうしても扱いが雑になりがちですが、そういう時こそ慎重に。これは扱いに不満を覚えた本の反抗なのだ・・・。絆創膏を指にしっかり巻きつけつつ、気を引き締め直す今日この頃です。
 
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(http://www.books-keirindo.co.jp/gaisyoubu.html)にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
 
 
雪の上のなぞのあしあと □ おすすめ児童書
『雪の上のなぞのあしあと』 【福音館書店】  あべ弘士/作
雪国の動物園で起きた事件(?)です。
宿直の僕が夜の見回りをしていると、雪の上にブルドーザーのような謎の足跡を発見!
いったいこの足跡は? 正体を突き止めようと僕は奔走します。
そしてようやく見つけた犯人は・・・。こんなこともあるんですね。
 
 
□ 外商部おすすめの奈良本 天皇の歴史2 聖武天皇と仏都平城京
『天皇の歴史2 聖武天皇と仏都平城京』 【講談社】  吉川真司/著
女性天皇たちが護った天武直系の皇統。期待とともに即位した聖武天皇を待ち受けていたのは、相次ぐ天災と政変、疫病の大流行だった。苦悩する天皇は仏教に深く帰依し、平城京は仏都の彩りを濃くしていく。そして、空前の専制君主・称徳天皇、聖武朝の否定者・桓武天皇が、新時代を拓いた―。波乱に満ちた古代天皇の生涯と、宮都の実像を活写する。
 
 
「おすすめ児童書」・「おすすめの奈良本」2月号は、2月初旬に更新予定です! お見逃しなく!!
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