啓林堂書店 メールマガジン

▼ バックナンバー









 
啓林堂メールマガジン
2月号 2017.2.1
啓林堂書店 http://www.books-keirindo.co.jp
 
読者に意識させないのも職人のワザ! 書体設計士の仕事にせまる。
文字を作る仕事 晶文社 長らくシリーズで購入していた本の新刊。だが、いざ読もうとすると何故か違和感を感じる。いつもと何かが違うのだが、それが何なのかがすぐに分からない。一向にぬぐえない違和感をひとまず脇に置き、何とか本の続きを読もうとする・・・が、やはり気が散って読書がはかどらない。面倒に思いつつも仕方なく前の巻を本棚から引っ張り出し、何が違うのかと見比べてみる。そこでようやく違和感の正体に気がついた。文字の書体が変わっていたのである。

 今回ご紹介する本は「文字を作る仕事」(晶文社)。我々が普段当然のように目にしている文字は、実は読みやすさや美しさが追及された書体の“完成品”なのである。本書はそんな書体作りに長年携わってきた著者・鳥海修による、書体作りという仕事にせまるノンフィクション本だ。

 近年はパソコンの普及により、以前より自身の仕事の説明が楽になったと話す著者は、自らを書体設計士と呼ぶ。フォントと言うとゴシック、明朝と皆さんもいくつかすぐ頭に浮かぶのではないだろうか。その書体を作成するのが書体設計士。著者は横文字で名乗るのが少し落ち着かないようだが、つまりは文字フォントのデザイナーの事である。聞き馴染みのあるヒラギノシリーズ、游明朝体、游ゴシック体などは彼の手がけた仕事である。

 著者はなぜ書体設計士になったのか。車好きがこうじて元々はカーデザイナーを目指していたという著者。だが、偶然入った多摩美術大学のグラフィックデザイン学科で運命を大きく変える。
 しかし、いざ書体設計士になることを決め、入社した会社で著者は愕然とすることになる。著者が目の当たりにしたのは、年下でも先に入社し、着実に技術を磨いてきた先輩と、素人同然の自分の間にある歴然とした差だった。自分ではきれいに仕上げたつもりのものが何度もやり直しになるのである。この経験で身を引き締めなおしたと語る著者の言葉はとても真摯だ。真面目な、書体に対する著者の姿勢があらわれている。
 また、この道で活躍している様々な個性の違う師からも、著者は多くのことを学んでいる。同業の会話から飛び出すマニアックな書体に、読者は書体の種類がいかに多いかと驚かされるが、それ以上に書体設計士の考え方によって、作られる書体の方向性がまるで変わるのが興味深いのである。中でも著者が大切にしているのは「水のような、空気のような」書体であるということ。詳細は本書でご確認頂きたいが、自然に読書ができる文字であるということが、実はとても大切なのだと改めて気づかされる思いだった。本書に使われている書体についても巻末で説明がされているので、先にあとがきを読んでしまうのもいいかもしれない。
 書体の事を語る著者の姿勢は、始終フォント制作会社「字游工房」の代表としてより、一人の書体設計士としての心がけに対する思いが強い。節目節目で出会うキーパーソンに導かれるように、書体の奥深さを学んできた著者は、気づけば文字づくりに携わって37年だと言う。自らの過去をふりかえりつつ、真摯に、時に熱く著者から語られる書体の魅力につい引き込まれてしまった。

 なお、出版社によって本に使われている書体は少しずつ違う。それぞれ出版社のこだわりがあると聞けば、恐らく多くの方が本棚に並んでいる手近な本の書体を今すぐ確認したくなるのではないだろうか。
 本書に多くの書体見本も載っているので、ぜひ色々見比べてみて欲しい。ほんの少しの違いで随分と文面の印象が変わるのがお分かり頂けるだろう。
 「水のような、空気のような」書体を目指してきたという著者の道のりがこの一冊に詰まっている。ぜひご一読を!
今月の私の1冊
へんな毒すごい毒 増補
【ちくま文庫】 田中真知 著 907円
へんな毒すごい毒 増補 ちくま文庫毒と聞いて皆さんが最初に思い浮かべるものはなんだろう。食中毒、もしくはヘビやクモなど具体的な毒を持つ生き物を連想される方もおられるだろうか。推理小説などを読まれる方は、青酸カリなど具体的な名前が出てきたかもしれない。
一口で毒と言ってもその種類は実に様々。ポイントは毒との関係性にあると著者は言うのだが・・・
一度は聞いたことのあるものから、そうではないものまで多種多様の毒を網羅。カタカナが多く、冒頭の章は説明が中心のため少々退屈に感じるかもしれないが、面白いのは2章からなので少しの間我慢して欲しい。毒と言ってしまうと怖いイメージを抱きがちだが、働きによって毒は薬にもなる。くわしくは本書で!
今月の私の一冊
ミニコラム「私と本」
≪今月の担当≫ 外商部 ワンダー事業 社員 八部赳治
 電子書籍が世に出回って久しいこの世の中です。皆さんも一度は読んだことがあるでしょうか。
 保管場所、持ち運びなど、様々な面で便利なところもあるでしょう。
 しかし、こどもに買い与えるえほんはいつの時代になっても紙の本であってほしいと思ってしまいます。
 手に取る時の本の重さ、紙の匂い、手触り。それらが本の内容をさらに豊かに、心を育んでくれると思うからです。
Chat & Chat
 各店にて、2月初旬よりメルマガブックフェア開催決定! 前に紹介した本を少し振り返っていたのですが、やはり面白い本は何度読んでみても面白いですね。過去にメルマガで紹介した書籍を、店頭でもぜひ手に取ってみて下さい! 
 
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
先月に引き続き、啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(http://www.books-keirindo.co.jp/gaisyoubu.html)にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
 
 
ロージーのおさんぽ 偕成社 □ おすすめ児童書
『ロージーのおさんぽ』 【偕成社】   作:パット・ハッチンス、訳:わたなべしげお
散歩に出かけるにわとりのロージー。その背後にはロージーをねらうキツネが。
それを知ってか知らずか、マイペースで散歩を楽しむロージーですが・・・
 
 
□ 外商部おすすめの奈良本  最新2月号に掲載しています! 蘇我氏と飛鳥 吉川弘文館
『蘇我氏と飛鳥 (人をあるく)』 【吉川弘文館】  著:遠山美都男 2/21発売予定
6~7世紀半ば、大臣(おおまえつきみ)として天皇の権力をささえた、稲目(いなめ)・馬子(うまこ)・蝦夷(えみし)・入鹿(いるか)ら蘇我氏四代。狭小な飛鳥の地をいかに切り拓き、隋唐に対抗できる都市的空間を築いたか。従来の蘇我氏像を書きかえ、王権の聖地の姿に迫る。

 
 
「おすすめ児童書」の2月号も2月初旬に更新予定です! お見逃しなく!!
▼登録内容・メールアドレスの変更
啓林堂書店のメールマガジンに登録されたメールアドレスの変更はできません。
お手数ですが下記URLをクリックし、 一度退会してから、新しいメールアドレスで再度登録してください。
http://www.books-keirindo.co.jp/member.html
▼お問い合わせ窓口
問い合わせフォーム⇒ http://www.books-keirindo.co.jp/common/postform.php
メール⇒ web@books-keirindo.co.jp
本のご予約・ご注文承ります。ご意見・感想・ご要望などお待ちしております。
発 行 (株)啓林堂書店  〒639-1007 大和郡山市南郡山町527  TEL/0743-51-1000
文 責 (株)啓林堂書店 〔外商部〕 上田輝美
啓林堂書店 ホームページ http://www.books-keirindo.co.jp
※本メールの無断転載を禁じます。 Copyright (C) 2017 Keirindo Syoten. All Rights Reserved.

ページTOPに戻る