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4月号 2017.4.1
啓林堂書店 http://www.books-keirindo.co.jp
 
「本を守ろうとする猫の話」
本を守ろうとする猫の話 小学館 『神様のカルテ』シリーズ等で知られる著者・夏川草介のファンタジー長編を今回はご紹介したい。
タイトルは「本を守ろうとする猫の話」(小学館)。猫が様々なシチュエーションに置かれた本を守ろうとする話なのだが、注目すべきは猫ではない。何より強調したいのはこの物語がただのファンタジーではないところにある。

 主人公は高校生の夏木林太郎。古書店『夏木書店』を営む祖父と二人暮らしをしていたのだが、ある日祖父が突然他界してしまう。林太郎は疎遠だった親戚の元へと引き取られることに。古書店も畳むことが決まった。引っ越しまでの間、お気に入りの古書店で林太郎は学校へも行かず、ひたすら本を読む日々を過ごし始める。だが、そんな彼の元に一匹のトラネコが現れる。トラネコは林太郎を夏木書店の二代目と呼び、迷宮に捕えられた本を救って欲しいと依頼するのだが・・・?

 本を救いに行くことになった林太郎の前には、障壁となるいくつかの迷宮が立ちはだかる。たくさんの本が巨大なケースの中に美術品のように収納された「閉じ込める者」の迷宮。効率よく本が読めるよう、本を切り刻んで断片化している「切りきざむ者」の迷宮。本は内容よりも売れるものこそが正しいとする「売りさばく者」の迷宮・・・それぞれの迷宮には本に対し偏った考えを持つキーパーソンがおり、林太郎は彼らと自分の本に対する思いをぶつけあうことになる。この時、度々林太郎の助けとなるのが亡き祖父の言葉であり姿勢だ。
 本を読むと何でも知った気になってしまいがちだが、それは自分の力ではないと祖父は林太郎に語っている。本から知識を得るのはいいが、知識を得たら今度は自分で歩み出す必要がある。本は自分の人生を歩んでくれる訳ではない、と。
 林太郎の思い出す祖父は、いつも本に対してひたむきで真摯だ。迷宮が登場するたび、現実世界の本が今置かれている状況をおそらく読者は想像せずにいられない。祖父の言葉と共に、自分の本に対する向き合い方はどうだろうか、ときっと自問することになる。私は「苦しい読書」のところで少し読む手が止まった。ゆっくり考える時間が欲しくなる。
 なお、本書のオビにもかかっている、祖父が林太郎に問いかける印象的なシーンがある。「お前はただの物知りになりたいのか?」と。これはおそらく読者にも向けられている言葉だろう。

 だが最終章、祖父の言葉に助けられてきた林太郎が少し疑念を抱く場面が登場する。「本には大きな力がある」と祖父は言ったが、果たしてどんな力があるというのか? 祖父の言葉を信じたいと思いつつも、思い悩む林太郎。窮地に陥った林太郎が出した答えとは・・・? 
 
 読めば必ずどこかに刺さるものがあるはず。本を大切に思う人こそ読んでみて欲しい良書。
今月の私の1冊
夢の叶え方を知っていますか?
【朝日新書】 森博嗣 著 821円
夢の叶え方を知っていますか? 朝日新書著者は「すべてがFになる」等で知られる森博嗣。このようなタイトルだが、おそらく今皆さんが想像しているものとは異なっていると予想する。先に断っておきたいのは、この本、夢を叶えるためのよくある自己啓発本とはまるで違う、ということだ。夢とは何か? という“夢”論から始まる、と書けば少し興味を持って頂けるだろうか。定義からはじまるのがなんとも理系の著者らしい。
なお、興味深いのはネット上で集めた夢についてのアンケート結果のページ。皆さんの夢は何ですか、というシンプルな問いにあなたなら何と答えるだろう。筆者がそれぞれの回答にコメントしているのだが、時に中々辛辣である。だがその一方で実に的確な指摘だ。読みながら、自分に思い当たるフシがあったとしても、まずは怒らず寛大な心で読んでみて欲しい。
普段はミステリ小説が注目されがちな著者だが、実は新書もかなり面白い。まだ読んでみたことがないという方、ぜひ一度読まれてみては?
今月の私の一冊
ミニコラム「私と本」
≪今月の担当≫ 生駒店 社員 吉井彬子
 貴方にとっての没頭できることは何ですか。
 私がいちばん没頭できることは読書です。
 誰かが何十、何百時間かけて綴った思いや考えが形になった物が本です。
 それらを私達は好きな時に好きなだけ読み、知ることができます。
 これってすごく贅沢なことではないでしょうか。
 しかも一説によれば、人は何かに没頭しているあいだ年をとらないそうです。
 好きなことができて年もとらないなんて、いいことだらけですね。
 ぜひ貴方が没頭できることを見つけ、大事にしてください。
Chat & Chat
 先月は突然3月号をお休みしてしまい、すみませんでした。
 最近面白そうな本を見つけると、少し高めの単行本でも躊躇なくレジに持って行ってしまいがちです。昔は文庫を待つ堪え性もあったのですが、好奇心に負けてしまいます。
 本屋に行く回数を減らそうか、とも思うのですが、後で反動がやってくるのが目に見えています。果たしてどうしたものか? ただいま考え中です。
 
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
先月に引き続き、啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(http://www.books-keirindo.co.jp/gaisyoubu.html)にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
 
 
空の絵本 講談社 □ おすすめ児童書
『空の絵本』 【講談社】  長田弘/作、荒井良二/絵
あっ雨 だんだん だんだん雨はつよくなり・・・
福島・山形出身の2氏が2011年この絵本を出版しました。
あたり前のことがとても大切なんだと思える1冊です。
読み終えたあと、空を見上げたくなります。新しい一歩をふみ出す人に。
 
 
□ 外商部おすすめの奈良本 日本の工芸を元気にする! 東洋経済新報社
『日本の工芸を元気にする!』 【東洋経済新報社】  中川政七/著
創業300年、奈良の小さな老舗から全国展開まで今、最も注目される若手経営者が格闘し、挑み続けた15年の記録と、未来への構想。現代的マネジメントとブランディングで伝統産業を蘇らせる!

 
 
「おすすめ児童書」「外商部おすすめの奈良本」の4月号は4月初旬に更新予定です! お見逃しなく!!
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