10月号 2025.10.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
今回ご紹介するのは「どうぶつのないしょ話」(雷鳥社)。実は店頭で一目ぼれしてしまった本だ。表紙のドット絵ゾウさんも可愛いのだが、タイトルに何だかきゅんとしてしまったのである。
“「知っていたつもり」がひっくり返る。どうぶつたちの、ほんとうの姿”をコンセプトに、様々な動物の意外な一面が本書では紹介されている。いずれも何故か今までそうだと信じてしまっていた、動物たちに対する思い込みがふわりとくつがえるような話だ。
例えば、ウサギは寂しいと死んでしまう、という話は、皆さんも聞いたことがあるのではないだろうか。だが、それだと単独行動することが多い野生のノウサギたちは、たちまち死んでしまうことになる。勿論そんなことはない。
誤解を生んだ理由は様々あるが、理由の一つに捕食者に狙われないよう、体が弱っていることを悟られにくくするウサギの習性が挙げられている。ウサギが弱っていることに飼い主が気づかず、外出先から戻ってきたところウサギがひっそり死んでいたことに気づく・・・悲しい状況が生み出した、飼い主の勘違いという訳である。
ところで皆さんはウサギの鳴き声を聞いたことがあるだろうか? 勿論ぴょんぴょんではない。意外な答えは本書に記されている。
民話『かちかち山』にも登場するタヌキ汁、実際はその中身、タヌキではなくほぼアナグマだったというのは皆さんご存知だろうか?
タヌキの肉は臭みが強く、調理に手間がかかったそう。だが、ニホンアナグマはとてもおいしく、調理も比較的楽だったのがその理由とのこと。今でこそ全く違う獣だと分かるが、むかしはイヌ科のタヌキとイタチ科のニホンアナグマ、ともに同じムジナという名前で呼ばれ、同種と考えられていた可能性が高いのだそうだ。
ところで民話『かちかち山』、ほんとうはとてもこわい話なのだそう。ほのぼのしていないどころか、猟奇的な話として紹介されていたのでかなり驚いた。
他にも、「コイのひげは2本ではなく4本」「イノシシは急に曲がれる」「ウメにウグイスではなくメジロ」「雨のときによくいるからではなく、飴のにおいがするからアメンボ」など、今までの思い込みを覆す面白い話が多数登場している。
なお、本書のおすすめポイントとして、挿絵に使われている動物たちの写真が本当に可愛いこともぜひ挙げておきたい。中でも私のイチオシは、お母さんカンガルーのおなかの袋の中で何ともけだるげな表情を寄こしていた子どもの表情だ。眠いのか退屈なのか・・・思わず笑みがこぼれてしまった。
紹介されている話も勿論面白いが、可愛い動物たちの写真を眺めているだけでも癒される。手近な本棚に置いておきたくなる一冊!
「ピンチに備える解剖学」
【筑摩書房】
村上徹/著
ヒトのからだの仕組みを改めて見てみると、その複雑で精緻な構造に驚かされる。 本書はヒトの体の成り立ちから、具体的な症例までを解剖学の視点で解き明かそうと試みるものだ。 前半の第1章は専門的な知識を交えつつ、私たちヒトの体の基本情報を学ぶ。後半の第2章は、身近な身体のトラブルに巻き込まれる登場人物たちのストーリーを追いつつ、実際の症例を紐解いていく。ゲームのやりすぎで指が痛くなったり、急な鼻血が止まらなくなったり・・・はたまた急に胸が痛くなるような緊急を要する症例まで幅広く紹介。正しい対処方法、そしてなぜその症状が現れたのかを解説。体の健康がいかに大事かも考えさせられる一冊。
≪今月の担当≫ ジュンク堂書店奈良店 社員 渡部大輔
最近、読書をしていない。
若い時は、毎日のように読んでいたのだが、ここ数年を遡っても読んだ本の冊数は片手で収まるほどだ。
読みたい本はたくさんあるのに読む気がおこらない。
読む習慣というのが薄れてしまっているような気がする。
これではいけないと思いこの間、一冊の本を手に取り読むことにした。
もう一度、読む習慣を取り戻すために、今年も残り少ないがこれを今年の目標として頑張っていきたいと思う。
ようやく暑さも和らいで、待ち望んでいた秋がやってきそうです。毎年涼しくなってくると読書の秋! と心が少し弾むのですが、単純に読書の秋にかこつけて、気の向くままに散財しているだけのような気もします。
いや、ちゃんとそのうち読みますよ・・・そう言い訳して何年も積読したままの本がまだ机の脇に・・・
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『はじめてであうきょうりゅう』
【岩波書店】バスチャン・コントレール/作 真鍋真/訳
これまでの恐竜の絵本とは、ひと味違います。ステンシルで描かれ、とても色鮮やかです。
にわとりほどの大きさの恐竜がいたことや、草食と肉食の違い、恐竜が絶滅してしまったこともわかりやすく教えてくれます。この絵本をきっかけに、恐竜のことをもっともっと知りたくなるかも。
巻末で恐竜の名前がわかるようになっています。
外商部おすすめの奈良本
『出戻りて、奈良。~シカ県民やりなおし日記~』【ホーム社】蟹めんま/著10月24日発売予定
海なし・美味いものなし・宿泊されない県と自虐せし奈良の民よ……立ち上がれ!
地元愛炸裂、局地的冒険コミックエッセイ。マスコットキャラ界の風雲児、あの「せんとくん」への直撃取材編も描き下ろしにて収録!
もう、「鹿と大仏の県だろ?」とは言わせねえ。世界よ、これが奈良だ。――卑屈な奈良県民bot・あをにまる氏。
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