9月号 2026.9.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
このタイトルを最初に目にしたとき、軽く衝撃を受けた。
「ナマケモノは意外と早起き 面白くてタメになる「体内時計」の科学」(築地書館)。
あの16時間は眠るといわれるナマケモノが? これが事実ならナマケモノはいいよなぁ、などと呑気にナマケモノを羨ましがっている場合ではなくなる。
本書によると、生き物たちはみな、自分たちの環境に合わせた“最適な時間の使い方”をしているのだという。
例えばイルカ。彼らはずっと泳いでいないと溺れて死んでしまう。そんなイルカたちは脳を半分ずつ眠らせる、というとても器用な方法で必要な睡眠時間の確保と生命維持を実現している。
ホッキョクグマは餌の豊富な時期には狩りをすることを優先し、ほとんど睡眠をとらない。代わりに餌がほとんど捕れない時期になると、前借りしていた睡眠時間をまとめてしっかり確保するのだという。一日のうち約20時間以上眠り続けるというのだから驚きである。睡眠負債から逃れられない宿命にあるのは人間も動物も同じ、という事実が興味深い。
本書ではそれぞれの動物が持つ体内時計の仕組みを紐解くことで、動物の睡眠や冬眠のメカニズム、エネルギー代謝を考慮した進化の過程などに注目していく。
さて、冒頭のナマケモノの話に戻る。実はナマケモノが16時間眠ると言われていたのは動物園の飼育下にある場合に限られる。実際野生で暮らすナマケモノはエサを探すのに忙しかったり、天敵を常に警戒しなければならない状況にあるため、動物園で暮らしているナマケモノより睡眠時間が約6時間も短いのだという。
同じような事例としてキリンの睡眠についても触れられている。詳細については本書をご確認頂きたいが、自分のやらなければならない仕事があるのか、安心できる環境にいるのかにより、動物たちの実際の睡眠時間は大きく変わるようだ。
本書を読んでいると動物たちはそれぞれの環境に合わせた睡眠をとれるよう、体が最適化されているのがよく分かる。特に私が驚いたのは動物たちの冬眠の実態だ。ひとまとめに冬眠と言ってもその方法は動物によって異なる。
リスの冬眠は自分の体温を極限まで下げ一時的に氷のように冷たくなる。体温が下がっているため、起きたいと思ってもすぐに体は動かせない状態だ。一方のクマは体温をあまり下げることなく冬眠をすることが可能。そのため物音で普通に起きることもあるのだそう。この違いは動物の体の大きさに大きく依存しているのだが・・・。
さらに面白かったのは、冬眠を冬にしない動物がいることだ。果たしてどんな動物か? 冬にしないならいつ冬眠するのか? ぜひ本書で答えをご確認頂きたい。冬眠の多様性に好奇心が刺激される。
なお、私が生まれ変わってもなりたくないのは働きアリとグンカンドリで今回決定した。
うたたねだけで確保しなければならない睡眠時間をだましだまし稼ぐ、というのも信じられないのだが、加えて環境が過酷で重労働・・・絶対に嫌である。人間で良かった。おすすめ!
「無敵化する若者たち」
【東洋経済新報社】
金間大介/著
無敵世代と呼ばれる、現代の若者たちの心理を鋭く読み解いた分析の書。本書で紹介される無敵世代の若者は「安定して確実な会社」を好み、理想の上司には情熱のある人ではなく「丁寧に教えてくれる人」を挙げる。集団の中で目立つような行動は避け、やる場合にはそうせざるを得なかった「言い訳」(上司からの指示)を彼らは必要とする。彼らは自分の範囲を守ることに常に意識が向いている。努力は才能と環境が恵まれた人がするものであり、そうでないなら努力はコスパが悪い――冷徹ともとれる彼らのリアリズム的な合理思考はなぜ育まれたのか?
他にも先輩世代はどう接する? 若者世代はどう生きる?などの著者の提言にも要注目。
≪今月の担当≫ 外商部 社員 前田裕美
先日、ありがたいことにたくさんの絵本に触れる機会に恵まれた。自分が子供の頃、大好きだったものなど、あれこれと想いを巡らせているうちに、様々な感情が生まれ、絵本の内容だけでなく、絵本を介して過ごした時間が胸に迫ってくる。寝たふりをして、暗がりの中で夢中でページをめくったこと。夏の暑い日に、汗まみれの子供を膝に乗せながら何度も同じところを読んだこと。その刻まれた記憶のどれもが色褪せず、今の私を温かく包んでくれるのである。なんてすごいことだ。
蔵書をひっくり返して掃除していたところ、いつもらったのかも記憶が定かでない大きなキュンタ君のしおりが発掘されました。サイズは文庫より少し小さいくらい。存在感があります。気になって詳細を調べてみると2016年に配布された「新潮文庫の100冊」フェアのときのものと判明!(なんと10年前!)
この調子だと、他にも思いがけないお宝が眠っていそうです。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『アリから みると』
【福音館書店】
桑原隆一/文、栗林慧/写真
アリ目線の写真絵本。アリの気持ちになって、さあ出発!いろいろな虫たちがどーんとアップで登場。
バッタの足の毛までよく見えます。
細かいところまで見えるので今まで気づかなかった虫の特徴も見えてくるかも。
外商部おすすめの奈良本
『日本書紀を読む』【講談社】9月17日発売予定
新しい皇統としての継体天皇、持統朝の文化国家への到達。漢文としての日本書紀を読み解けば、スリリングな古代日本が見えてくる!
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