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赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか 2025.7.1

7月号 2025.7.1

啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか

“赤ちゃんを知ることは、人間を知ること。”

そんな帯に惹かれて手に取ったのが、今回ご紹介する本、赤ちゃんは世界をどう学んでいくのか ヒトに備わる驚くべき能力」(光文社新書)だ。

赤ちゃんの持つ驚くべき学びの能力や道徳性は、人間が生まれつき、あるいは成長の非常に早い段階で身につけているものなのだという。

本書では赤ちゃん研究によって明らかになった赤ちゃんの驚くべき能力が示される。赤ちゃんの見ている世界を深く知ると共に、人間の本質的な能力を探っていく。

 

赤ちゃんは生まれてからのわずかな期間に多くのことを学ぶ。人の顔や表情を見てコミュニケーションの様式を、親や周りの人たちの話す言葉を聞きながら、自らが使える言葉の種類を増やし、言葉の使い方を学んでいくのだそうだ。

面白いのは赤ちゃんがその学ぶ相手を、ちゃんと自ら選んでいると思える実験結果が見られることだろう。

自分に正しい情報を与えてくれる人か、赤ちゃんはこれまでの少ない経験を元に予想し、情報を与えてくれる人が信頼できるかどうか、信頼性を見極めた上で学んでいるというのだ。

方言の好みに関するデータも面白い。養育環境の影響を大きさを思わせる結果が出ており、大変興味深かかった。実際の観察実験の様子は、ぜひ本書を確認してみて欲しい。

 

なお、本書後半では、絵本の読み聞かせが赤ちゃんに与える影響も紹介されている。

絵本は言葉を覚えたり、知識を広げたり、情緒を育む上で欠かせない役割を果たしており、子どもの成長に大きな影響を与える。東京大学の研究によると、読み聞かせの量はひらがなを読む力、読み聞かせの質は他者の気持ちを理解する力と関連しているのだという。

絵本のどのような側面が子どもの発達に影響を与えるのか。最近の研究結果を交えた結果がまとめられている。

 

赤ちゃんは私たちが想像しているよりもはるかに勉強熱心で、積極的に世界を理解しようとしている。本書の示すとおり、その学習能力の速さは昨今話題のAIの学習能力などはるかにしのぐと言える。

 

二児の母でもある著者が、合間合間に紹介する実子との実際のやりとりが読んでいて微笑ましく、思わず何度も笑顔になった。

なお、私が好きなのは家庭菜園で収穫されたミニトマトの分配をめぐる話だ。赤ちゃんが平等な分配を好む傾向を示す好例だろう。おすすめ!

 どうにもクラシックは敷居が高くてとっつきにくい……そんなイメージをお持ちの方にこそ読んでいただきたい一冊がこちら。
 CMやドラマ、家電に収録されているメロディなど、私たちの生活に溶け込んでいるクラッシック曲を作曲家の歴史や誕生秘話を交えて数多く紹介されている。
 「鼻から牛乳」のあの曲、「お風呂が沸きました」のあの曲……曲名を知らなくても、「ああ、この曲なら知ってる!」となるものがほとんどなのだが、もしすぐにピンと来なくても大丈夫。紹介ページに、QRコードがついているので、気になった音楽がすぐに聞けるよう配慮されている。
 私のおすすめは「きらきら星」のページ。意外な歴史が知れる。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 学園前店 社員 中西哲夫

 日々の作業中に面白そうな本に出逢うこともあって、つい「買って帰ろうかな?」と思うことがある。でも僕はそんな時、あえて買わないようにしている。
 普通に考えれば、勤務先で購入したほうが売り上げにも貢献できるし(大した額ではありませんが…)、ほかの店舗で購入したなら、ライバル店の売り上げをあげる事にもなってしまう(くりかえし、大した額では…)。
 でも僕は、休みの日にふらっと立ち寄った書店で、思いがけず見つけた本を購入したいのだ。
 あてもなくフラフラと店内を回り、思いがけず出会った本(それは、あらかじめ買おうと思っていたものでも構わない)を手に取り、レジに向かうという行為も含めて楽しいのだ。
 僕にとってはこれが、本を読む行為とおなじ、もしくはそれ以上に重要なことだったりする。

Chat&Chat

 思わずひやり。夜中に本の山(山脈?)をうっかり崩してしまいました。

 かばった本たちは何とか無事だったのですが、代わりに自分の指が本の角にやられて若干皮がむけました。でも、血は出てないのでセーフ。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

セミくんいよいよこんやです

【教育画劇】
工藤ノリコ/作・絵

 ぐっすり眠っているセミくん、カブトムシくんからの電話に「いよいよこんやです」と答えます。

 カブトムシくんは仲間たちに「こんやだって」と伝えます。そして、セミくん歓迎の準備を始めます。

 夜になり、セミくんが土の中のおうちに別れを告げて、地上の木に登って行きます。

 セミが羽化して成虫になった喜びを虫の仲間たちと分かち合います。

外商部おすすめの奈良本

飛鳥幻想

【方丈社】
戸矢学/著
7月23日発売予定

 

 『万葉集』に登場する奈良県の地名は総数約900にのぼる。しかもそのうち200以上が飛鳥に集中している。つまり、『万葉集』にもとづいて大和の地を訪ねれば、必然的に飛鳥を訪れることになる。それほどに飛鳥は昔の日本人にとっては重要な場所であり、憧れの土地であったのだ。しかし、その飛鳥が古代日本の政治的中心地であったのはわずか100年。しかも飛鳥は狭矮な盆地で、当時は辺鄙なところだった。誰が何のために飛鳥という地を選んだのか。飛鳥にまつわる謎を深掘りする。

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