タイトルは「科学の教養大全 生命・地球・植物・動物・宇宙をめぐる46億年の物語」(Gakken)。様々なテーマを「科学」で読み解く雑学系の本である。
著者は科学教養系YouTuberとして人気を博している九和律。“「知ること」は、古来から人類が愛してきた最高のエンターテインメント”、と「はじめに」で語られている通り、私たちのなぜ? に科学の視点で答えてくれる本になっている。
本書では、私たちの身の回りの言われてみればわからないこと、現象としては知っているのに、ほぼ理由を答えられないものを中心に取り上げる。素朴な疑問だが、実は本質をつく問題。取り上げられているそんなテーマの一部を紹介してみたい。
まずはご存知の方も多いだろうこんなテーマから。「違う血液型の血を混ぜるとどうなる?」
そんなことしたら大変! 死んでしまう! という声がおそらくたくさん返ってくると思う。これはその通りで、基本0型以外の血液型というのは、自身の血液型以外の血を混ぜると血が固まってしまう。輸血時に自分と同じ血液型の血を使う理由である。
なぜ固まってしまうのか? これは血液を構成している赤血球の抗原の型が血液型によって異なっているのが原因。A型とB型では持っている抗原が異なるため、A型にしかない抗原、B型にしかない抗原が存在する。自身の持たない抗原は異物判定されるため、A型はB型の、B型はA型の抗原をそれぞれ攻撃してしまうのである。
ではA型、B型の抗原を両方持つAB型の場合はどうなるのかというと――本書解説のページに載っているイラストが理解の手助けになる。O型がC型と呼ばれない理由についても、納得できるのではないだろうか。
また、コラムに登場するテーマが考えさせられる。「宇宙人に出会ったとして、どうやって「左」を教えるか?」
宇宙人はこちらの言語を理解できる、という前提条件があるのだが、言語だけを使ってうまく説明できるだろうか? お茶碗を持つ方が左、心臓がある方が左、という伝え方はできない。なぜならこれは地球基準の考え方であり、そもそも宇宙人が右利きなのか、体の構造が人間と同じなのは分からないからだ。難題である。
他にも「なぜ人間は、肉食動物(人間含め)を食べないのか?」 「ウシなどの草食動物は、草しか食べないのになぜムキムキなのか?」「なぜブラックホールはすべてを飲み込まない?」など、気になるテーマが多数取り上げられている。
軽妙な語り口と時折混ざる毒が、本のページを繰る手を加速させる。厚みは2センチくらいあったと思うのだが、あっという間に読了してしまった。気になるテーマから読むのもオススメ!