啓林堂書店メールマガジン

なぜ、そう書くのか? 2024.5.1

5月号 2024.5.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

なぜ、そう書くのか?

 ことばが私たちに見せる姿はその時々で大きく変わる。

ある時は私たちの感情をかき立て、揺さぶり、理性を奪う。物事を分かりやすく整理し、理解する手助けになることもあるが、逆に私たちの思考を混乱、迷走させ、混沌に追い込むこともある。ことばの代わり身の様子は、まるで魔術のようだ。

 

今回ご紹介する本は、「文章は「形」から読む ことばの魔術と出会うために」(集英社新書)。

「契約書」が宣言調になっているのはなぜか。「料理本」はなぜ機嫌が良さそうな印象を受けるのか。「詩」はなぜすぐに改行をするのか――

 

本書は章ごとに様々なことばを取り上げる。注目するのは文章の「形」だ。

「学習指導要領」「料理本」「広告」「ニュースの見出しやメモ、応援・掛け声と言ったことばの断片」「注意書き」「挨拶文」「契約書」「小説」「詩」――これらのカテゴリを見て、「読みづらい、難解」といったイメージや、「淡々としていて素っ気ない」「威圧的」または「親しみやすさがある」など、ふっと頭に浮かんだ印象があると思う。このような印象を抱くのにも、文章の「形」が大きく影響しているのだそうだ。

 

本書では各章冒頭、実践形式の練習問題を解いてから本題へと進むスタイルをとっている。

読者は冒頭に登場する練習問題、「この文章はわかりやすいか、わかりにくいか。その原因は?」「小説『蹴りたい背中』の冒頭部、語り手はどんな性格の人に思えるか?」などに挑みつつ、各章の文章の「形」について考えていくことになる。

2章冒頭では、学習指導要領より一部抜粋した文章を、あえて料理本に登場するようなことばに直して書くとどうなるかを問うものが登場している。

料理本にある導入のフレンドリーさを感じさせる文章と、後半の調理工程を無駄なく、論理的に指示する文章の構成はどのような「形」をしているのだろう。料理本らしい文章の特徴については第2章で詳しく説明がされている。ぜひ確認してみて欲しい。

 

2022年に国語の「現代文」が「論理国語」と「文学国語」に分かれた。だが、そもそも「実用的」な文章や、「文学的」な文章とはどのようなものを言うのだろう? 

1章「学習指導要領を読む」では、本書の核心に触れる内容がまとめられている。

文章の背後にある意図や構えを分析することで、私たちはその文章に対してどんな反応をしてしまうのか、ということも分かるのだそう。ぜひ、一緒に考えながら最後まで読んでみて欲しい。

 

 

文章の「形」が、いかに私たちのことばに対する印象に影響を与えるかを教えてくれる良書!

<今月の私の一冊>

生命の時間図鑑 グラフで見る動植物の体内時計

グラフィック社】

ヘレン・ピルチャー/著 吉井大志/翻訳・監修

 地球誕生のきっかけとなった、約138億年前の大爆発。そこから“時間”が始まった。

 本書では豊富なビジュアルと共に、自然界に暮らす動植物を様々な角度から比較、分かりやすく解説する。

 体高の巨大化と蹄の変遷が楽しいウマの進化史、動植物が家畜化されるまでにかかった各種比較年表、ほかにも寿命や睡眠時間の違い、食べ物が消化されるまでの時間の比較・・・

 時間以外にも、聞き分けられる周波数の違いなど、興味深いテーマがずらりと並ぶ。

 ページを眺めているだけでも十分楽しい。ぱらぱらとページをめくってみて、気になったところから読み進めてみるのもおすすめ!

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 生駒店 社員 𠮷田晏菜

私は旅に出かけるのが好きだ。その際行先の旅行ガイドブックを入手するようにしている。今どきスマホだけがあれば知りたい情報は調べることができるのに、ガイドブックなんていらないでしょ?と言われる。しかしガイドブックの美しい写真を眺めながらスマホで詳細を確認、地図を広げて初日はここを回ってここで昼食と考えている時からもうすでに旅行は始まっている。

そして数年たったのち、ふと本棚に目をやると旅行に行った年のガイドブックが目に入る。そうしたらまた見返して旅行の続きを楽しめる。

 

Chat&Chat

 内容が学術的すぎて全然頭に入ってこず、ずっと積読している本が手元に一冊。このままあきらめたくはないので、気力体力ともに充実しているゴールデンウイークに再チャレンジだ! と意気込んでいます。

 果たして結果は……?

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

よもぎだんご

【福音館書店】

さとうわきこ/作

  ばばばあちゃんとだんごを作るために、よもぎ採りに行きます。

 よもぎ以外にいたどりやつくしも見つけました。食べられる草のことをいろいろ教えてくれます。

 さあ、料理しよう。でもばばばあちゃんは指図するばっかり。なんでかなぁ。

 それはね。今日はばばばあちゃんの誕生日だったんだ。みんなで作った料理で誕生日のお祝いだ!

外商部おすすめの奈良本

小川晴暘と飛鳥園 100年の旅

求龍堂】

奈良県立美術館、姫路市立美術館/企画・原案

5月10日発売予定

 「飛鳥園」の創立100年を記念し開催される巡回展の公式図録兼書籍である本書によって、小川晴暘、光三、光太郎の親子三世代で引き継がれる飛鳥園の活動を振り返る。飛鳥園に保存されている美しい仏教美術写真は無論、小川晴暘が調査の際に遺したスケッチや拓本、晴暘が発刊した『東洋美術』などの古美術研究専門誌や文献資料もあわせ111点を掲載。古美術・文化遺産を愛した小川晴暘という人物の姿にも迫る。

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 ふうちゃんの遠足の日、お父さんお母さんが起きてきません。寝坊です。
 お弁当ができてないよー。
 台所にあるフライパンやたくわん、梅干したち総出でお弁当を作り始めます。
 もちろん、だじゃれを言いながら。みんなもだじゃれを考えてみて。

 ふうちゃんの遠足の日、お父さんお母さんが起きてきません。寝坊です。
 お弁当ができてないよー。
 台所にあるフライパンやたくわん、梅干したち総出でお弁当を作り始めます。
 もちろん、だじゃれを言いながら。みんなもだじゃれを考えてみて。

 今日のお昼ご飯は野菜炒め。冷蔵庫にあったピーマンを取り出すと、なんと! ピーマンがしゃべりだしました。
 「切ります? やめたほうがいいんじゃないかなー」
 どうもピーマンは食べられたくないみたいです。あの手この手で食べられるのを阻止しようとします。
 ピーマンといえば、嫌いな子のための話かと思いきや、ピーマンが食べられるのを嫌がる話なんです。