「着物の絵柄に込められた願いを知っていますか?」
店頭で目に入ってきた本書の帯に、問われて思わず手に取ってしまった文庫である。
ぱらぱらとページをめくってみただけでも、まず登場している文様の多彩さ、美麗さに思わず目を奪われる。花、動物・・・中には神仏という少し変わったジャンルも。どんな文様があるのかは、ぜひご自分の目で確かめてみてほしい。
例えば松竹梅文。お馴染みの並びという印象を受けるが、いずれの植物も縁起が良い吉祥文様のひとつのため、ランク付けに使うのは間違いだという説もあるのだとか。図案化された時代は古く、奈良時代にもさかのぼる。ちなみに梅だけの梅文もある。
紋様でも模様でもなく“文様”なのはなぜか。この解説はあとがきに。実は最初目にした帯の問いかけにもつながってくる。
充実した解説はかなりの読み応え。まずは気になった文様から、解説を読んでいってみては?