啓林堂書店メールマガジン

麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ 2019.8.1

8月号 2019.8.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ

 夏到来。どうしても夏バテ気味で食欲がわかない・・・そんな時嬉しいのが冷たい麺類。蕎麦、素麺、うどんなど、暑くなってくるこれからの時期は特に食べたくなるという人も多いだろう。
 さて、そんな麺の原材料を皆さんはすぐに答える事ができるだろうか? ブルーバックスより面白い新刊が登場していたので紹介したい。
 『麺の科学 粉が生み出す豊かな食感・香り・うまみ』(講談社)。タイトルにもある通り、麺の素材の科学や調理の科学という視点で、麺のおいしさを解き明かしていく内容となっている。

 夏の風物詩、素麺や冷や麦の多くは乾麺の形で流通している。いずれも小麦粉、食塩、水を主原料としており、麺の太さによってそれぞれ名称が決まっている。これらの麺の名称は「乾めん類品質表示基準」より、素麺・直径1.3mm未満、冷や麦・直径1.3mm以上1.7mm未満、うどん・直径1.7mm以上、きしめん・幅4.5mm以上厚さ2.0mm未満と定義されているそうだ。
 とはいえ、素麺は0.9mm程度のものが広く流通しているそう。それよりも更に細く、芸術の域までに達していると紹介されていた素麺の中に、奈良県の「白龍」(0.6mm)、「白髪」(0.3mm)が入っている。同じ奈良県民としては少し鼻が高い。麺は細いと麺つゆとの絡みがよくなり、食べるとき束で噛むような独特な食感を得られるのが特徴なのだという。
 ここでみなさんに質問。吹きこぼれしそうになったとき、よく差し水をすると思うのだが、これは正解? それとも・・・

 第1章では麺の元となる小麦粉や蕎麦粉、片栗粉、タピオカ、米粉といった素材の性質などを科学的に解説。第2章ではパスタ、中華麺、うどん等、世界の麺について麺の形状や性質、麺として作られていく過程で起こっている科学についてくわしく解説する。特にパスタの種類の多さに驚かされた。
 なお、著者も最初に述べているが、第1章の内容が少し専門的になっているため、難しいと感じたのなら第2章以降から読み進めるのも一つの手。自分の気になる麺の知識を得てから、補足として第1章に戻って読むと少し読みやすくなる。第4章では麺をよりおいしく食べるにはどうすればいいかを検証。裏技を知りたい方はこちらを参考に。
 見逃せないオマケは第5章。麺をおいしくしようとして失敗した事例がまとめられている。なぜ駄目だったのか? その点も科学的にしっかり検証されているので、ぜひご自分の目で確かめてみて欲しい。

 色々な麺を想像しながら読んでいると、なんだかおなかが空いてくる。夜中に読むと夜食を作りたくなってくるので注意が必要。

<今月の私の一冊>

身近な生き物オス・メス『見分け方』事典

【ベレ出版】 木村悦子/執筆、今泉忠明/監修 ¥1728

身近な生き物のオスとメスの違いを分かりやすく解説した児童書である。
見開きページの右側がメス、左側がオスの構成。サイズが違う時はそれぞれの平均が紹介されているところも面白い。なお、本書ではメスがオスよりも大きい「ノミの夫婦」の例が多く扱われているようだ。
哺乳類の項目で紹介されているたぬき。こちらは解説を読むとオスへの好感度が上がる。子どもにミルクを与えるのはメスの仕事なのだが、それ以外の子どもの世話や面倒は基本オスがみるのだそう。子どもとも積極的に遊ぶイクメンである。一夫一妻制であるところもポイントが高い。
鳥類は全体的にオスの方が派手な羽を持っていることが多く、オスはメスに自分を選んでもらうため、踊ったり歌ったりと必死のアピールを行う。羽の目玉模様が派手で目をひくクジャクもこちらがオス。実は繁殖期を過ぎたオスは派手な飾り羽が全部抜けて、見た目がとても地味になってしまうそう。一度実物を見てみたい。
まだまだ知らなかった奥深い生き物の生態にワクワクしてしまうこと間違いなし。おすすめ。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 学園前店 店長 澤田健吉

 あらためて考えてみると書店で働き始めてかなりの時間が経過していることに気づく。
 学生時代の書店通いが高じてこの仕事に就いたが、近頃は他の書店に足が向かなくなっている自分がいる。
 別に本に対する興味が薄れたわけでは無い。何故かと考えると書店に入ると仕事として観察してしまい、以前のように純粋に楽しめないからだとわかった。またあまりにも良く出来た書店は畏敬の念を抱き、近づきがたく感じてしまうという点も職業病かもしれない。

Chat&Chat

 夏の各出版社のフェアが始まっています。
 フェアの特典も気になるし、前から気になっていた本をこの機会に読んでみようと意気込んで売り場へ向かったのですが、いざレジに並んでみると何故かフェアとは全く関係のない本を抱えている自分。計画通りにならないところも、店頭で本を選ぶ楽しみの一つではあるのですが、おかげで予算オーバーです。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/)にて

更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書」「おすすめの奈良本」9月号は、8月下旬に更新予定です!お見逃しなく!

おすすめ児童書

ねこのはなびや』【フレーベル館】 渡辺有一/作

今夜は海の花火大会。しろねこぐみと、くろねこぐみと、とらねこぐみが花火の技で競います。
ドドーンと次々に打ちあがる花火。どの花火もカラフルでとてもきれいです。
また大きく広がる仕掛けも楽しくて迫力があります。
さて、どの組が優勝するでしょうか?

土門拳の室生寺
【クレヴィス】 土門拳/著 8月下旬発売予定

「女人高野」の名で知られる奈良県北東部の山寺・室生寺。土門拳は昭和14年に初めてこの地を訪れ、優美な堂塔や、平安初期の木彫仏にすっかり魅了されます。ことに釈迦如来坐像を「この像くらい利口で頭のいい顔をした、天下一の美男の仏像はなかった」と絶賛し、戦中も戦後間もなくの物資のない時期にも、機材や米を背負って出かけ、撮影を続けました。これで撮り切ったとは思えず、いくらでも撮れると土門の写欲をそそった寺でした。戦前から昭和52年までに撮影されたモノクロームの名作と、その撮影時のスナップ、室生寺愛あふれるエッセイを収録。

お問い合わせ窓口

問い合わせフォーム https://books-keirindo.co.jp/contact/
本のご予約・ご注文承ります。ご意見・感想・ご要望などお待ちしております。

発 行 (株)啓林堂書店

〒639-1007 大和郡山市南郡山町527-13 TEL/0743-51-1000
文 責 (株)啓林堂書店

〔外商部〕 上田輝美
啓林堂書店 ホームページ

https://books-keirindo.co.jp
※本メールの無断転載を禁じます。

Copyright (C) 2019 Keirindo Books Co.,Ltd. All Rights Reserved.