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世界一のクマのお話 クマのプー 2018.9.1

9月号 2018.9.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

4人の人気児童文学作家が著した「くまのプーさん」公式続編

 世界中で愛されるプーが生まれて90年。プーの生みの親・A.A.ミルンの意志を継いだ4人の人気児童文学作家が著す、公式続編 『世界一のクマのお話 クマのプー』(角川文庫)が文庫オールカラーにて刊行された。
 百エーカーの森を舞台に、クマのプーと森の仲間たちの賑やかな1日が今日も始まる。

 本書では季節の章ごとに話が展開していく。
 秋の章ではクリストファー・ロビンがドラゴン退治の劇を練習するため、プーに邪魔をしないよう伝えるところから話が始まる。だが話が森の仲間たちへと伝わっていくうち、プーたちの森に恐ろしいドラゴンがやってくるのではないか、という話がもち上がる。クリストファー・ロビンはドラゴン退治をするための準備をしている。邪魔をしてはいけない。でも、もし準備が整う前にドラゴンが森にやってきてしまったら・・・? 森のみんなを巻き込んでの大騒動になっていくのだが・・・。
 冬の章では森の仲間に新しくペンギンが登場。果たして人見知りのペンギンは森の仲間たちと打ち解けることができるのか。同じ鳥類だからだろうか、森一番の物知りオウルが少しライバル意識を燃やしている様子が伺えて面白い。
 春の章ではイーヨーに食料危機が訪れる。イーヨーのアザミをべつのロバが狙っていると言うのだ。アザミをとらないようにお願いしようと言うプーに、そのロバが仲間を連れてきたら? 三匹もいたらどうしようもないし怖いよ、と震えるコブタ。なら皆でお願いをしよう! こうしてイーヨーがべつのロバを見たという場所まで、ティガ―、ラビット、カンガにルー、ラビットの親戚の皆さん(ハリネズミなどの小動物)と一緒にお願いをしに行くことになるのだが・・・こちらはイーヨーの表情に要注目。
 夏の章は川のおいしいソースを求めて旅に出るプーの話。プーらしい少しおとぼけの入った最後に、思わずにっこりしてしまう。

 ここで見どころを一つ紹介。小心者のコブタは常に何かにおびえ、心配の種が尽きないでいる。そんなコブタが序盤の章で恐ろしいと怯えていたのが “アブリガドー”である。具体的な説明がなく、正体がずっと気になっていたのだが、春の章まで読み進めてようやく分かった。英語っぽく発音してみると答えに近づけるかもしれない。びっくりしたり怖いと思うことがあるとすぐに両耳で目を塞いでしまうコブタの愛らしい挿絵にも注目。

 子どもにはもちろん、かつて子どもだった大人の方にも。長年愛されるプーと森の仲間たちの魅力が詰まった1冊!

<今月の私の一冊>

さくらえび

【新潮文庫】  さくらももこ 著 ¥594

数日前のさくらももこさんの訃報が今も信じられずにいる。『ちびまる子ちゃん』でお馴染みの作者は漫画家として知られているが、エッセイの名手でもあった。新潮文庫の100冊にもピックアップされている『さくらえび』の中に、作者が奈良を訪れた際の話「あの日の奈良」が収録されている。学生の頃立ち寄った飛鳥のお茶屋さんを十数年ぶりに訪れる話だ。
今もそのお店はあるのか? 漫画家デビュー五日前に書いた初のペンネーム入りサイン色紙は今どうなっているのか・・・確かめたいような確かめたくないような。そんなお店を訪れるまでの作者の葛藤、気恥ずかしさが伝わって、読んでいる間はこちらまでドキドキしてしまう。
他、登場するのは『ちびまる子ちゃん』のヒロシのキャラクターそのままの父“ヒロシ”。「ヒロシのコイ」ではコイを飼いはじめたヒロシと、そんなヒロシに振り回される作者の様子が面白おかしく語られる。また作者の息子が登場する「息子の手紙」。さくらももこであることを隠して、息子と接している作者。だが純粋にTVの『ちびまる子ちゃん』を楽しんでいた息子が、作者のさくらももこさんに会ってお礼を言いたいと言い出して・・・?
時に笑え、時に心に響く。本書を読み終えた後は自然と笑みがこぼれるはずだ。いつも楽しい時間を与えて下さったさくらももこさんに、一読者として感謝したい。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 郡山店 社員 加川洋子

 心ときめく本に出会った。
 友人と書店で待ち合わせ。少し時間がある。何となく棚を見ていると、素朴な表紙が視界に入ってきた。
 『漢字はうたう』(あかね書房)。漢字が歌う?
 本を開く。うわあ~もうダメ。荷物になるのに買ってしまった。
 家に帰って声に出して読んでみる。漢字がこんなにも魅力的だとは…..。「春」から「来」まですべてが素敵すぎる。
 さて、これもほんの少し余分な時間があったから出会えた本。まさに、余分なことをする大切さと、楽しさであろう。
 今度少しだけ遠回りをして家に帰ってみよう。いつもと違う景色、新たな発見が待っているかも。本を通してふとそう思った。

Chat&Chat

 フェア対象商品のおまけをもらう時、いつもあれこれと迷ってしまう。選べるブックカバー、しおり・・・お馴染みのアイテムであるが、毎年少しずつ違うのが楽しい。
 あれこれ本を買っている間に欲しい種類くらいはそろえられるのではないかと思いつつ、やはり最初の一つ目を真剣に悩む自分がいる。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/)にて 更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介! おすすめ児童書」「おすすめの奈良本」7月号は、6月下旬に更新予定です!お見逃しなく!

おすすめ児童書

つきのぼうや』【福音館書店】 イブ・スパング・オルセン/作・絵、やまのうちきよこ/訳

ある晩、お月さまがふと下を見ると、「おや、池の中にも、もう一人のお月さま」
そこでお月さまは「月をつれてきてほしい。友だちになりたいのだ」と月のぼうやに頼みました。
月のぼうやはかごをさげて下へ下へ・・・冒険の旅に出ます。月のぼうやが見つけたものは何?

おすすめ奈良本
大和維新』 【新潮社】 植松三十里/著 9月21日発売予定

廃藩置県で大阪府へ併合、冷遇された奈良県。大和の誇りを抱く男は故郷の再独立と近代化に立ち上がる。知られざる闘いを描く維新秘史。

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