5月号 2026.5.1
今回ご紹介するのは、ずばり「書店に行くとだいたいイイコトが起こる」(草思社)。
店頭で発見した時、タイトルを見て思わず嬉しくなってしまった。普段書店員として働く著者が、書店と読書の良いところを全編を通して余すところなく伝える1冊だ。
読書の話が天気の話題くらい気軽にされる世の中が理想、という著者。普段あまり読書をしない人にも本を届ける――そんな目的で書かれている言葉だからだろうか、読書に至るまでの入口は、今までの読書術について語られた本よりずっと近く感じられる。
本を読むのが遅い、すぐ積読してしまう、忙しくて全然本が読めていない――
心あたりしかない・・・と、がっかり、もしくはどきりとしてしまった方、全く問題も心配もないので安心して頂きたい。
そもそも読書とは本来楽しいものだ。なのに、読書に対するハードルが高くなりすぎている。現代人は忙しい。月に何冊は読まないと・・・この本は読んでおかないと・・・いつの間にか出来上がったそんなルールが折角の楽しい読書をつまらなくしていないだろうか。
本は誰でも気軽に手に取ってよいもので、書店も気軽に立ち寄ってよい、誰でも入っていい場所である。理想像は一旦脇に置いて、自分が無理なく本と楽しく付き合える距離感をまずは探っていけばよいのである。
さて、皆さんは普段、書店をどのように利用しているだろうか。目当ての本を買いに、目的に合った本を店頭へ探しに・・・そんな方が大半だろうか。
だが、書店はただ本を買うためだけの場所にあらず。ネット書店と違うのは、普段は縁のないジャンルにふと興味がわいたり、書店員のオススメのポップに惹かれて予定になかった本を手に取ってしまったり――といった、思いがけない本との出会いを体験できるところにある。好奇心をくすぐられるこの面白さは店頭でないと味わえない。
一度書店を訪れたら15分以上、いや30分以上長居しているという方。本書を読むと、自身の希少さにカルチャーショックを受けると思う。それと同時に、中々自分思っていたよりすごいかも? と今度は自信がわいてくる。
ちなみに、私が一人のお客として店頭に訪れた際には、店舗の広さにもよるが軽く見積もっても一時間は滞在していることが多い。15分以内で立ち寄るとなると、消化不良を起こして体調を崩す自信がある。
自分もそうかも・・・と思われた本好きの方、本書の後半に「積読量」「本棚の住人」などテーマごとに設けられた面白いティア表も用意されているので、こちらもぜひ参照してみて頂きたい。
普段あまり本を読まない人は、久々に本を読んでみようかな、書店に立ち寄ってみようかな、と思えるような好奇心をくすぐられる構成になっている。日常的に本を読んでいる人は、普段の読書習慣は間違ってなかった! とみるみる自信がつき、今まで以上にもっとたくさん本が読みたくなる。本書を読んでいると不思議と自己肯定感が上がるのだ。
読売新聞朝刊に掲載している「こどもの詩」の傑作選。2017年の初版から2022年時点ですでに6刷。詩集でこの重版ペースはすさまじい。
登場する子どもたちの詩は心がぽかぽかするもの、少しもの悲しさを伝えるもの、意外性のあるもの・・・実に千差万別だ。
私が衝撃を受けたのは、ひらがなの「れ」よりカンガルーがいる、と詠まれた一遍。一度気づいてしまうと、「れ」のフォルムがもうカンガルーが横を向いているようにしか見えない。
純粋で素直な子どものことばが読者の心を打つ。歴代選者のあたたかいまなざしが伝わるコメントも、ぜひ合わせて読んでみて欲しい。おすすめ。
≪今月の担当≫ 外商部 社員 上田輝美
「今まで読んできた中で一番好きな本は何ですか?」
毎回頭を悩ませる質問ナンバーワンだ。今ハマっている本や、イチオシの本ならぽこぽこ頭に浮かぶ。だが今まで読んできた中で一番、と言われると、本にも個性があるし・・・と、それぞれの一番良いところを挙げたくなって決められない。お気に入りの本は絵本でも小説でも、この本のここが好き、というポイントが必ずあるからだ。
じゃあ本の沼に浸かることになったきっかけの本を・・・価値観を変えるきっかけになった本は・・・頑張ってテーマを狭め、毎度苦しみながら1冊を絞り出している。
前月は、書店でゆっくり本を選ぼう! と思い立つとなぜか当日雨になる現象にしょっちゅう見舞われていました。折角買った本を濡らしたくはないので後日に回すのですが、なぜか後日もまた雨・・・なぜ? まだ梅雨には早いはず・・・私が何かしましたか?
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
ある晴れた日、山の上で風の子が生まれました。ビル風、つむじ風、夜風、色々な風になって飛んでいきます。
最後に残ったこかぜちゃんはどんな風になるのでしょう。思わず、がんばれ!と声をかけたくなります。
目に見えない風が優しく描かれる絵本です。
外商部おすすめの奈良本
『見て楽しむ奈良絵本・絵巻 描かれた昔話と物語』
【八木書店】
石川透/著
5月20日発売予定
日本の昔話・物語の原点がここにある!
奈良絵本・絵巻研究の第一人者が収集した珠玉のコレクションをオールカラーで紹介。機織するのは鶴じゃなくて蛤だった? 桃太郎の元ネタは女の子? 日本初の女性絵本作家・居初つなとは? など、奈良絵本・絵巻に描かれた昔話の源流や物語の変化、制作にかかわった人物について詳細解説。新収録作品を含む約160点の豊富な図版で、奈良絵本・絵巻の世界を紐解く入門ガイドブック!
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