8月号 2026.8.3
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
当初は別の本を紹介する予定だったのだ。が、先日店頭で商品を眺めている際にどうしても気になる本を見つけてしまったので、今回はその本を紹介したい。
今回ご紹介する本は、「となりの筋トレ 小説家は見た!ジムの愉快な日々」(飛鳥新社)。
筋トレの話? あまり興味ないけどな・・・と思われた方。私も暇さえあれば本を読んでいたいタイプの人間なので筋トレには正直興味がない。もちろん体も極力動かしたくない。それでもこの本を手に取ったのには理由がある。
本書の著者は「夏美のホタル」「虹の岬の喫茶店」など、心温まる名作を送り出すことで知られる森沢明夫。そんな著者がなぜ筋トレの話を・・・? という意外性から思わず手に取ってしまった一冊なのだ。
果たして自分にちゃんと読めるかしら・・・と少しどきどきしながら読み進めてみると、どうやら筋トレ中心の話ではなく、スポーツクラブに通う風変わりな常連客たちの人間観察の様子が綴られたエッセイだと分かってくる。
本書は筋トレ専門誌『トレーニングマガジン』(ベースボール・マガジン社)で連載されていたものがまとめられ、文庫になったもの。作者も含め、登場人物たちが皆個性的で、電車の中で読みはじめると笑いがこらえられなくなるのが困る。興味を持って頂けたのであれば、一人でゆっくり読める環境下での読書を強くおすすめしたい。
不規則な時間帯にスポーツクラブに通う著者は、顔見知りの常連客に何してる人なの? と不思議がられることもしばしば。しかし小説家と知られても、覚え間違いオンパレードのタイトルをこの前読んだ、と意気揚々として語られ、映画化された物語をまぁまぁよかったと、なぜか微妙な感想を伝えられてしまう始末。病院で医者に職業を聞かれて作家と答えてみれば、なぜかサッカー選手と勘違いされ・・・家族には小説家なのに無駄な筋肉をつけて、と揶揄される日々。それでも著者が筋トレをやめない理由――
スポーツクラブに現れる常連客たちのキャラクターがとても個性的で、常に想像の斜め上を行く。
そんな人、ほんとにいる!? 何をどうしたらそんなことになるの!? と、思わずにはいられないのだが、そんな愉快なスポーツクラブは後半でまさかの結末を迎える。
私が印象に残っているのは、スポーツクラブに談笑しにきているおばさま方が始めた、ここに小説家が通っているらしいよ? というひそひそ話。それは私のことですが――と、そっと聞き耳を立てる著者、しかしおばさま方が語りだしたのは・・・
著者の人物を捉える視点が常に新鮮で面白い。だまされたと思って、ひとまず一章読んでみて欲しい。あ、これはまずいぞ・・・となって家にお持ち帰りしたくなると思う。おすすめ。
「昆虫はなぜ海にいないのか」
【ちくま新書】
朝野維起/著
地球には数多くの昆虫が生息している。昆虫の多様性に興味を持っている方も多いのではないかと思うが、本書は昆虫はなぜ海にいないのか? と、一見素朴で単純に見える疑問から、そもそも昆虫とは何か? どんな生き物なのか? ということまで深く掘り下げて考察する。
最近の研究で昆虫と甲殻類が実は近縁であることが判明したそうだ。どうやらそれぞれの外骨格の成分に着目することが、謎を解くヒントになるようだが・・・。
少し専門的な言葉も並ぶが、分子生物学やゲノム科学など、さまざまな昆虫研究分野の成果を踏まえ、一歩踏み込んだ仮説の提示までされている興味深い一冊。
≪今月の担当≫ 外商部 社員 上田輝美
一人の客として書店を訪れたとき、急いでいなければひとまず、店内をぐるっと一周するようにしている。本たちの顔ぶれを眺めながら進んでいくと、あの新刊順調に売れてる・・・! 何だか面白そうな本が出たな・・・? などなど、好奇心が刺激されるのだ。新刊の香りはいつも心地いい。
確かに電子書籍はかさばらなくていい。SNSやインターネットだとピンポイントで新しい本の情報が素早く手に入る。だが私が優先したいのは実際本を手に取ったときのあの贅沢な高揚感。そんな風に思うのだ。
集英社のよまにゃクリアしおりをひとまず二種類入手しました。見ているだけで可愛くて癒されます! ついでに本のページに挟まっていた愛読書カードももりもり書いてポストに投函!
今年の夏の読書も充実している気がしますが、さらに8月も充実させる気満々です。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『すいかのたね』
【ブロンズ新社】
押本達希/作
夏と言えば、すいか!
すいかのたねがいろんな所にまぎれこんじゃった。一つだけ横になっていたり、泳いでいたり。
そんなすいかのたねを探す絵本です。誰が一番先に見つけられるかな。
外商部おすすめの奈良本
『祝・世界遺産! 今こそ知りたい飛鳥・藤原の宮都』【宝島社】8月17日発売予定
日本国内で22件目の世界文化遺産として今年登録された「飛鳥・藤原の宮都」――法律や暦といった制度から、都市空間や宗教といった文化までが一気に整備され、日本という国が形作られていったこの時代の意義を今に伝える19遺跡をすべて網羅し、それぞれの特徴と歴史的な役割をご紹介します。『続日本紀』において「文物がここに備わった」と高らかに宣言された、日本国家完成の瞬間をより深く知るための一冊です。
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