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実現可能? ミステリ小説に登場する変わった部屋・建物を検証! 2026.7.1

7月号 2026.7.1

啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

実現可能? ミステリ小説に登場する変わった部屋・建物を検証!

 

 今回ご紹介するのは、「建築トリック謎解きガイド 難事件は不思議建築とともに」(エクスナレッジ)。

ミステリ小説をこよなく愛する一級建築士の著者が、ミステリ小説に登場する窓のない部屋は本当に作れるのか? 完全な密室は実際可能か? などの疑問に建築士の視点から真面目に考察する一冊だ。

 外の様子が伺えない、一見出入り不可能に見える部屋の中で起きる不可解な事件…そんなミステリ小説で定番の窓のない部屋を実際作るには?

 

 

 まず、私たちが広く部屋、と呼ぶ建物の区画は、「居室」「非居室」の二つに大きく分けることができる。

 居間や寝室、台所や書斎――人が生活をするため継続的に使用する部屋は「居室」と呼ばれ、窓の設置(窓の大きさの比率)、人が快適に過ごすための環境を整えるよう細かく規定が設けられている。

 一方、玄関やトイレ、洗面所など継続的には使用しない部屋は「非居室」呼ばれて区別されており、窓の設置も求められていないのだそう。つまり地下の倉庫やワインセラーであれば、窓のない部屋を問題なく作れる、ということになる。

 だが、「居室」での窓なし部屋に拘るとなると、難易度が上がる。

 工事着手前の設計図面による建築確認、建物完成後の完成検査…これらの検査をかいくぐり、「窓のない部屋(居室)」を忍ばせるのは現実的にかなり難しい。しかし、それでも建築関連の知識が豊富な犯人が、知恵を絞って秘密の空間を作り上げる方法を考えるとしたら・・・

 緻密に練られた計画の最後、確かに、と納得してしまう結末が用意されていた。詳細は本書の間取り図を眺めながら、楽しく確認してみて欲しい。

 

 

 断崖絶壁、はたまた人の寄りつかない孤島にそびえる館・・・ミステリ小説でおなじみの舞台設定だが、実際そんな場所に立派なお屋敷を立てることは可能なのか? 孤島の館を実際作れるかを検証してみる。

 著者はまず館のインフラ設備に注目する。電気は太陽光を基本利用するとしても、悪天候などで状況が左右されやすい発電方法では十分とは言えない。予備電源としてガソリンで動く発電機の用意は必須だ。そうなると本島からガソリンは定期的に運んでこなければならないことになる。さらに、周りが海に囲まれた孤島という立地条件から、飲み水などの生活用水をどうするかも考えなければならない。都合よく使える湧き水が地下から出ればよいが、そうでなければ本島から海の下にずっと水道管を通してくることになりそうだ。

 さらに実際工事を進めるとなると、工事関係者の僻地までの通勤事情も考えなければならない。当然資材を運び込むのも苦労するが、建設資材に欠かせない“あるもの”が一番ネックになると判明し・・・・

 今度から孤島にそびえる館の主を見る目が変わりそうだ。お金も時間も存分にかけた館が変わっていないはずがない。

 

かなり専門的な解説も一部含まれてはいるものの、可愛いイラストと分かりやすい図解が読者の理解を手助けしてくれる。

各章のテーマに沿って、実際のミステリ小説も紹介されているところがブックガイドとしてもありがたい。読了済の本を見つける度、まだ自分の知らない本を知る度、ミステリに触れたくなってくる。

 

なお、普段から図面を読み込んでいる著者は、図面の違和感から謎に気づいてしまったことがあるようだ。本書読了後は、ミステリ小説の挿絵についている図面の見方が少し変わる? かもしれない。

  

<今月の私の一冊>

AI脳クライシス デジタルは人から何を奪うのか

【集英社インターナショナル】

 酒井邦嘉/編著 羽生善治/〔ほか〕著

 

 急速に広まり、私たちの生活に浸透しつつある生成AI。質問にすぐ答えてくれるだけでなく、長い文章も一瞬で要約してくれるなど便利な一方で、過度なAIへの依存により、自らの頭で考える機会が減少、将来的な思考力や想像力、構成力などの著しい低下が懸念されている。

 AIのもたらす弊害とは何か。今一度考え、AIへの危機意識を捉え直すよう、著者は警鐘を鳴らす。

 第2章の各界著名人との対談では、AI台頭時代にあって、AIとどのように向き合うべきなのか、人間が果たすべき役割とは何なのかを深く掘り下げる。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 奈良店 社員 木下奈々美

 書店で働き始めて半年ほど。

 一番の発見は、「みんなめっちゃ本好きやん」ということです。お客様もスタッフも、本を手に取っては、「ほう~」「んん~」という顔をしている。ものすごい勢いで頭を回転させながら吟味しているのか。みんな面白い顔で本と対峙している。お金に際限が無かったら、そんな顔をせず手に取ったもの全部買うのだろうか。

 紙の本は、なくならない。こんなにも世の人がいろんな顔をして楽しそう。そんな場所で本に囲まれながら働いている私は、きっととても幸せです。

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 今年も夏フェア文庫の時期がやってきました! 購入特典、ラインナップされた作品群を見てわくわくしつつ、何を買おうか絶賛悩み中です。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

ありがとまと

【ひかりのくに】
わたなべあや/絵 窪田愛/文・企画編集

「トマトマン」はみんなのピンチを助けるヒーロー。
 助けてもらうと、「ありがとまと」と感謝して、トマトマンは「どういたしまして」と答えます。
 感謝を言葉に出す大切さを思い出させてくれる絵本です。

外商部おすすめの奈良本

飛鳥・藤原に隠された古代宮都の謎
【ウェッジ】
瀧音能之/編、古川順弘/著
7月21日発売予定

 

 2026年7月、「飛鳥・藤原の宮都」がユネスコ世界遺産登録へ――
 国内外から注目が集まる「飛鳥時代の古墳や宮殿跡の謎」を探る!

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