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すべては好奇心の芽から生まれる 2023.3.1

3月号 2023.3.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

すべては好奇心の芽から生まれる

 今回ご紹介するのは、「13歳からのサイエンス 理系の時代に必要な力をどうつけるか」(ポプラ新書)。

 

本書で主に登場するのは、各種の科学自由研究コンテストで成果を上げた10代の若者たちだ。

彼らのオリジナリティあふれる研究は、日常の身近な疑問からヒントを得ていたり、大人のアイデアを独自に発展させたりしたものが多いが、いずれも抱いた興味に対して素直に取り組んでいるところに好感が持てる。

若き先駆者たちはみな発想力が豊かで、研究を楽しんでいることが見て取れた。

 

ある高校生は、落ち葉に裏向きが多い理由を探る。

落ち葉など、普段気にも留めないほど目にしているが、落ち葉が裏向きによく落ちていると気づけるところが素晴らしい。だがこの落ち葉、落下直後は落ち葉の表葉、裏葉の割合が半々、もしくは73と表葉の方が多いのだという。

どのタイミングで落ち葉は反転しているのか? 落ち葉が裏向きであることに何かメリットがあるのではないか・・・そうしてテーマを深掘りしていく過程が興味深かった。

 

「火星の水」を研究した定時制高校の科学部は、知恵と工夫が光る。

宇宙関連の名だたる研究機構が備えているような専門的な研究機材は、普通に購入すれば数百万もするという。当然簡単に入手できるものではない。だが、彼らはそれを3万円で手作りしたというのである。

詳しい説明は本書に譲るが、うまく部室を利用してつくったという機材を見てみたくなった。

 

紹介されている研究を見ていると、学生の好奇心の芽がのびのびと育つ環境を、親や先生、周りの大人たちが整えているところも、彼らの研究を発展させるのに大きく貢献しているのが分かる。

例えば蚊に刺されやすい妹のために蚊を研究し、コロンビア大学にまで進学した大学院生の話では、家の一部屋で蚊を大量に飼って、観測するための部屋にしていたという。想像するだけでかゆくなる。私が親ならまずやめろと言ってしまうだろう。

蚊に刺されやすくなる原因を突き止めた後、この研究はさらに発展している。こちらにもぜひ注目してみて欲しい。

 

研究とは異なる分野に進んだ学生もいるが、彼らの中には研究で培った確かな思考力、柔軟な発想力、それを実行できる行動力が生きている。科学的な考え方は、将来どんな分野に進んでも役に立つことだろう。

学生たちの今後の目覚ましい活躍が大いに期待できそうだ。良書。

<今月の私の一冊>

勝つのはどっち?ライバル対決おもしろ雑学

【三笠書房】 曽根翔太/著

 「イカ」と「タコ」、戦闘能力が高いのはどっち? 「ゴッホ」と「ゴーギャン」、画家として成功したのは…
 長年にわたる因縁の対決から、意外な組み合わせの対決まで。様々なジャンルからエントリーされた「競い合う関係」を比べてみると、意外な事実が明らかに。
 果たして軍配はどちらに上がるのか? 著者の着目ポイントも楽しみながら読んでみて欲しい。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 学園前店 店長 松井典子

 

 何か新しい本はないかしらとスマホで本の検索をしていると、むかしむかし、学生時代に読んだ小説のスピンオフを発見。早速、店舗でお取り寄せの手続きをした。

 そこからだ。なんだか毎日そわそわしている。正直なところ、多くの印象が残った本ではない。学生時代に読んだたくさんの本の中の、ほんの1冊。当時アルバイトをしていた啓林堂で買ったのだ。そう、休暇に読むために、新人しばりで本を集めていたうちの1冊だった。

 ミステリ、探偵もので、帝都時代もの。こってりした設定だと思ったけれど意外にさらりと読みやすくて読後感がよかった。

 そわそわしながら、なんだか少しずつ思い出してきた。本棚の奥を漁ってみると…あった。奥付をみると、なんと15年越しの再会だった。

 読み手の15年。そして書き手の15年。何か変わったろうか、それとも変わらないだろうか。まぁ兎にも角にも、楽しい読書になることはもうわかっているのだ。スピンオフの到着を、今日もそわそわと待つ。

Chat&Chat

 先日、ちょっと前に単行本から文庫本になって手に入れやすくなったよ、と人に本をおすすめすることがあったのですが、その“ちょっと前”を改めて確認してみると8年前! え、結構前じゃない? と、言われ思わず身震いがしました。年々時がたつのが早くなっているような気がします。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

とうだい

【福音館書店】
斉藤倫/文 小池アミイゴ/絵

 岬に立つ灯台。夜になったら灯りをくるくる、船の目印になります。

 灯台は同じ場所にずっと立っているので、遠くから飛んでくるわたりどりによその国のことを教えてもらいます。

 穏やかな海、朝日の様子、船が通ったり、嵐の海。いろいろな海の様子が描かれ、とてもきれいです。

外商部おすすめの奈良本

魅力あふれるうるわし古都 奈良へ

【イカロス出版】

京極祥江/著
3月10日発売予定

 奈良市内を中心に、斑鳩町、王寺、三郷町、生駒市、明日香村、橿原市今井町、吉野などのおすすめの見どころ、飲食店、ショップ、宿を紹介します。奈良で人気のかき氷店や、昔から雪駄や下駄作りが盛んな三郷町で、デザイン製の高い雪駄を製造、販売しているお店なども紹介します。

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