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ダチョウはアホだが役に立つ 2021.8.2

8月号 2021.8.2
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

ダチョウはアホだが役に立つ

 今回ご紹介する本は『ダチョウはアホだが役に立つ』(幻冬舎)。著者は「ダチョウ抗体マスク」の開発者で「ダチョウ博士」の塚本康浩氏だ。インパクトを与えるタイトルは事実なのだろうか? その内容に迫りたい。

 

 皆さんはダチョウに対してどんなイメージを持っているだろう? 足の太さや速さが真っ先に浮かぶだろうか。
 元々ダチョウは恐竜から進化したと言われている。そのため太い足の形は恐竜と似ている。足の早さは二足歩行する動物の中では最速。つぶらな瞳に騙されそうだが、その気性は意外にも荒い。思いがけず強烈なキックが飛んでくることがあるそうで、著者は何度も骨折を経験しているとのこと。本書では著者が日々、ダチョウを観察していて気づいた様々な点があげられている。

 

 著者いわく、どうやらダチョウは何も考えていないのだという。1羽のダチョウが走り出すと、特に目的もなく他の仲間もつられてついて行ってしまう。勢いよく集団で走っていった先は崖の上。当のダチョウたちはビックリして恐怖で固まってしまって動けなくなったり、あるいは崖で止まりきれず、勢いそのまま崖から落ちてしまうこともある。その度に呆れつつも著者はダチョウの救出に向かっているようだ。

 

 一般的に鳥はケガに弱い生き物だ。セキセイインコなどは数滴血が出ただけで命が危険になることもある。対してダチョウは痛みに鈍感。仲間内でのつつき合いで血が出ることなど日常茶飯時、加えてダチョウの血のにおいを嗅ぎつけ、やってきたカラスが図々しく肉をついばみはじめても、知らん顔で平然と自分のエサのもやしを食べ続けるそうだ。カラスを追い払おうともしないというのだから驚きである。

 

 そんな痛みに対して鈍感なダチョウだが、一方で驚異的な回復力も備えている。
 体に穴があいて骨まで見えるようなひどい重傷でも死なないどころか、傷に薬をスプレーすれば数日で傷がふさがり、1ヶ月もすれば皮膚も再生されて元通りになるとのこと。調べてみるとダチョウの細胞は他の生物よりも素早く動く傾向があるのだとか。
 この並外れた免疫力が注目され、今の医療にも応用されている。メスに無毒化したウイルスを注射すると、ウイルスに対する抗体が猛スピードで作られ、メスはその抗体を卵に送り込む。大きな卵にたっぷり抗体が含まれて産み出されたものを人間が加工し、ワクチン作成などに役立てているのである。その他、ダチョウ抗体マスクがなぜウイルスや花粉症などに有効なのかなど、気になる詳細についてはぜひ本書をご確認頂きたい。

 

 なお、鈍感なイメージの強いダチョウだが、音に対しては神経質なところもある。
 大きな音に驚いて、2組のダチョウの家族が入り乱れてパニックになったことがあったそうだ。しばらくして落ち着いた両家。だが、よく見てみると家族の組み合わせがおかしい。ペアが入れ替わり、子どもの数が変わっていても、ダチョウたちが気にしている様子は全くないとのこと。どうやら家族のことを覚えていないようなのである。そんなダチョウは飼い主である著者のことも当然覚えていない。著者によると、ダチョウの脳みそは目玉よりも小さくツルツルとのことなので、やむなしのようだ。

 

 著者のあふれんばかりのダチョウ愛と、今後の医療に希望を与えてくれる楽しいエッセイになっている。興味のわいた方はぜひ。おすすめ!

<今月の私の一冊>

図解モチベーション大百科
【サンクチュアリ出版】 池田貴将/編著

 なぜかやる気が出ない…そんな折にこの本のことを思い出した。普段私たちは意思を持って行動しているが、日々の心理状態によって行動を変えることがままある。私たちの意思とは別に、私たちを動かしているもの、それが本書の解説する“モチベーション”である。
 本書はそのモチベーションの正体を探るべく、研究者たちの実験によって解き明かした心理・行動パターンの要点を図解、著者の解釈を加えたものになっている。普段の生活で覚えのある現象も多々紹介されているので、無意識の選択の多さに多く気づかされるだろう。人間の感情の不思議さ、行動の不合理さを楽しみつつ、ぜひ、今日からのモチベーションを生みだすきっかけに活用してみて欲しい。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 奈良店 加川弘一

 書店に携わって学生時代から数えると、もう47年になる。今はないが大阪の学習参考書で有名な出版社で小中学生模試の添削や参考書の出荷作業のアルバイトをしていた。それから47年、本との付き合いが続いている。定年する少し前までは、もう本との付き合いはやめようと思い定年後の楽しい生活を夢見ていたのだが、そんなことは、やっぱり夢で体調を崩し少し入院している時も棚替えのことを考えていた。今も、自宅の絵本棚が手狭になってきたので本棚を自作しようと考えている今日この頃である。

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 暑さが本格的に厳しくなってきました。涼しい部屋でゆっくり読書をしたいと思いつつも、快適な空間では眠気に負けてしまう日々が続いています。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

にゅうどうぐも

【福音館書店】

野坂勇作/作 根本順吉/監修

 雲が主役の絵本です。
 夏のある一日。朝、昼、夕といろいろな形の雲が現れます。
 もくもくと空高くのびるにゅうどうぐもがどのようにできるのか、そしてそのあと何がおきるのか。
 空を見上げて空の観察をすると、天気の急変が予想できるようになるのかもしれませんね。
 本の終わりには気象研究家の解説もあります。
 どうなっちゃうのか、先が気になって、どんどん読み進めたくなります。

外商部おすすめの奈良本

知られざる古墳ライフ』 

【誠文堂新光社】 
譽田亜紀子、松木武彦/監修 スソアキコ/イラスト 
8月4日発売予定

 古墳といえば前方後円墳を真っ先に思い浮かべる人が多いと思いますが、実は、円いものや四角いもの、なかにはホタテ貝のようなかたちのものもあり、お墓のわりにバラエティ豊か。創意工夫にとんだお墓と副葬品のハニワで象徴される古墳時代はどのような時代だったのでしょうか。また、その時代に生きた人たちは、いったいどんな顔立ちで、何を食べ何を着ていたのでしょうか。教科書で簡単に紹介されるだけの古墳時代にスポットを当て、豊富なイラストと写真つきでわかりやすく解説します。

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