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少しのコツで絵や図を上手に描く方法 2021.9.1

9月号 2021.9.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

少しのコツで絵や図を上手に描く方法

 人に言葉で説明をするのが難しいとき、絵や図を描いてみることがあると思う。その度に自身の絵心のなさを痛感して気落ちしている方はいないだろうか。
 私自身もあまり絵は得意ではなく、すらすらと絵を描ける人には憧れがある。本書はそんな方に向けた一冊。

 

 『増補 図解 いきなり絵がうまくなる本』(角川新書)。絵心やセンスのなさに悩まされている人でも、少しの知識とコツがつかめれば人に伝わる絵や図は描けるようになる――本書ではそんな目からウロコの情報が紹介されている。
 建築家でもある著者が紹介するのは透視図法。絵画と違い、ルールにしたがって立体的な形や空間を描き出す手法は、建物やインテリアなどの背景を描く際に強みを発揮する。本書を読み終える頃には、おそらく図を立体的に描くのは難しいことではないと思えるようになっているだろう。

 

 例えば第1章に登場する「同次形法」。言葉だけ聞くと何だか難しそうな印象を受けるのだが、学生の頃、数学科目の図形の授業で立方体や直方体、円筒形などをノートに書いていたのを思い出せれば何ら難しいことはない。同じ形、同じ大きさの図形を二つ並べ、点を線で結ぶ。注意するのは、この時直線部分はそれぞれ平行になるように心がけること。最初の一歩はたったそれだけである。かえってそんなの簡単すぎる! と思われたかもしれない。だが、この基本を守ることがとても大事だ。応用していくことで、リアルな図形、家具小物、そこから室内に配置された細かなインテリアの様子、最後は高層ビル群の描写までできるようになってしまうのである。

 

 第3章に登場する「相似形法」では、大きさの違う相似の図形を二つ並べて簡単に物体の奥行、遠近感を出す方法を学ぶ。そこからさらに応用して、第4章では建築家のようにリアルな描写を追求し、取った点に向かって建物などを配置していく「消点法」を用いていく。消点については、絵のことを少し調べたり学んだことがある方は聞いたことがあるかもしれない。ここまでくれば絵で簡単な図示をすることは苦労なくできてしまうだろう。
 無理なくステップアップができるよう、各章ごとに演習問題も紹介されているので、ぜひ取り組んでみて欲しい。

 

 なお、私が読んでいて驚いたのは影の描き方だ。物質の凹凸を意識して、点と線を結ぶのは基本の通り。そこから太陽光の差し込む方向を意識し、補助線を引いていく。法則にのっとって線を引いていくと複雑な図形の影も描けてしまうのが不思議である。
 また、かなり難易度が高そうな角度のついた円形を描く方法も紹介されている。楕円とも違う、少し潰れた形の円はどのようにして描くとよいのか。ぜひ本書で確認してみて欲しい。

 

 もっと早くに本書に出会えていれば絵への苦手意識も多少薄らいだのでは・・・ついついそんなことを思ってしまった。おすすめ!

<今月の私の一冊>

 何度も説明しているのに、相手にうまく伝わらない。そんな経験をしたことが、皆さんにもあるのではないだろうか。
 脳にはバイアスがかかっている。そのため、自分と他人の見ている世界は自分の思うものとは違っている可能性がある。これは親しい間柄の友人や兄弟、親も例外ではない。この「脳の認識のズレ」を正しく認識していないと、ちゃんと伝えているのに! と無用のいらだちやストレスを抱くことになってしまう。
 本書に例として挙げられている2パターンの顔の絵を見てみて欲しい。あなたにはどちらが笑っているように見えるだろうか? まずはあなたの脳のバイアスを読み解くことから。
 普段のコミュニケーションを考えるヒントになる1冊!

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 外商部 上田輝美

 学生の頃、夏休みの宿題でおなじみの読書感想文に四苦八苦していた。読書感想文の書き方の本も読んでみるのだが、載っている例文がハイレベルすぎて参考にならない。感想文のはずなのに、主な内容が自分の体験談になっていたりする。本に紹介されていた例文は、確か物語の内容には数行ほどしか触れていなかったと記憶している。もはや感想文ではないのでは・・・そんな疑問を抱くも、言ってみたところで宿題は終わらない。 

 どうにも納得できず、また、人に披露できるほどの体験談も持ち合わせていなかった私は、結局いつもと同じ面白みのない感想文を書くことに。「感動しました」「すごいと思いました」――感想を定型句に押し込める居心地の悪さに抗いつつ、提出最低ラインの原稿用紙3枚を目指し、ひたすらマス目を埋めていく――そんな地獄の8月最終週をぼんやりと思い出していた。

Chat&Chat

 9月です! 厳しい残暑がまだまだ続いています。夏から秋に早くバトンタッチしてくれるといいのですが・・・!

 読書に最適な秋の気候を今年も待ち遠しく思っています。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

お月さんのシャーベット

【ブロンズ新社】

ペク・ヒナ/作 長谷川義史/訳

 とーっても暑い夏の夜、お月さんから、ぽた、ぽた、ぽた・・・大変、月が溶けてるー。
 気づいたおばあちゃんがたらいでしずくを受けます。そして、このしずくでシャーベットを作ります。
 お月さん、溶けちゃって大丈夫かな・・・。
 お月さんのシャーベットってどんな味なんだろう。食べてみたいですね。

外商部おすすめの奈良本

天平芸術の工房』 

【法蔵館】
武者小路 穣/著
9月10日発売予定

 正倉院や東大寺をはじめとする花やかな天平芸術の創造にたずさわった工人たちは、どのような歴史を経て、いかなる活動をしていたのか。東大寺の大仏の造営の行われた8世紀半ばを中心にして、日本で活動するようになった画工が政府の工房に組織され、その制作活動を拡大していく過程をたどり、やがて9世紀には官司工房としては衰退して、そこから新しい画工の民間工房が成立していく方向を展望するとともに、古代国家の文化の形成基盤の全体像を解明する。

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