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信長もビックリ!? 科学でツッコむ日本の歴史 ~だから教科書にのらなかった~ 2019.3.1

3月号 2019.3.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

科学の視点から日本の歴史を読み解く

 毛利元就の「三本の矢」、豊臣秀吉の「中国大返し」、宮本武蔵と佐々木小次郎の「巌流島の闘い」・・・どれも有名でよく知られている話だが、その話が事実であるかはまた別の話である。

 今回ご紹介するのは「信長もビックリ!? 科学でツッコむ日本の歴史 ~だから教科書にのらなかった~」(集英社)。
 本書の面白いところは科学視点から歴史の有名な話を検証しているところだ。三本の矢は手で押さえた程度であれば力のある人は折ってしまうし、そもそも毛利元就の子どもが三人というスタート地点が違っている、と聞けば興味が湧いてくるのではないだろうか。

 さて、皆さんは法隆寺の五重塔が何階建ての建物かご存知だろうか。詳しい方ならば正解を知っている方もおられるかもしれないが、五重塔は五階建てではなく一階建ての建物である。
 なぜ一階建てなのか? その答えは建物の中にある。さらに遠近法を利用した五重塔の狙いと構造を知れば、当時の人々の知恵と工夫に唸らされることだろう。
 なお、五階建てに見えるが実際は六階建てなのが松本城である。なぜそんな構造にしたのか? 五重塔とはまた違う理由が紹介されているので、こちらも一緒にご一読頂きたい。

 剣豪が殺生を避けるため、あえて峰打ちするという場面を漫画などでよく見かける。だが、刀の構造と素材を考えると実際の峰打ちはかなり危険が伴い、相手が命を落としてしまう可能性もあった。峰打ちなのに凶器になってしまうその理由とは?
 同じく刀の話で、別の章に登場する真剣白刃取りの話も面白い。合わせて読むとより楽しめるだろう。

 様々な忍術を使いこなす忍者。不安定な水の上をアメンボのように自在に進む水蜘蛛は、水の上を進むどころか体を安定させるのもかなり難しそうだ。だが、実際は難しいどころではなかった。計算上、水蜘蛛は体重15kgまでしか浮けない構造になっていたという衝撃の事実が判明する。さらに驚くべきは、そもそも水蜘蛛の使い方が違っていたのではないかという本書の指摘。少しかっこいいイメージの忍者が遠のいてしまう使い方なのだが・・・本書を読めば実際の忍者の姿が見えてくる。

 わくわくしならがら読み進め、あっと言う間に読了。続編希望!

<今月の私の一冊>

ペンギン鉄道なくしもの係

【幻冬舎文庫】名取佐和子/著 ¥745

電車での忘れ物を保管する遺失物保管所、通称・なくしもの係。そこにいるのはイケメン駅員となぜかペンギン。登場人物たちは訳ありのなくしものを探してこの場所を訪れ、新たな一歩を踏み出すきっかけをつかんでゆく。
最初の章では愛猫の骨壺をなくした女性が登場。なくしもの係を訪れるがすでに持ち主が現れ、引き取った後との説明を受け、途方に暮れるのだが・・・
電車に乗って移動するペンギンの姿が可愛くも衝撃的で、想像するのが楽しい。最終章ではペンギンに関わる意外な事実が明かされる。
読み終わった後は、じんわりと心が温かくなるお話。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 店舗営業本部 部長 ・ 奈良店 店長 西田大栄

 高校のころ、女性作家の短編集をたくさん読んだ。
 特に鷺沢萠が好きで、文庫はすべて買い揃え、単行本は図書館で借りて、たぶん全作品を読破したと思う。
 高3でセンター試験を受けたとき、現代文の1問目が彼女の作品から出題されて驚いた。
 その後、自殺してしまったことは衝撃で、なぜかその頃、集めた文庫はブックオフに売ってしまった。
 ほとんどの作品が絶版になり、読み返すこともなかったが、最近、講談社文芸文庫で最初期の短編集「帰れぬ人びと」が復刊された!
 さっそく買って25年ぶりに読み返した。
 独特の風景描写や主人公の心の動きがよみがえって感動した。
 高校時代に本屋でアルバイトをして買った文庫にもう一度出会えた職場に感謝!

Chat&Chat

 10万部突破が20万部突破へ。そして映画化決定! リアルタイムでこんな帯の変遷をたどっている時は楽しい。そうそう、自分も面白いと思っていたんです! チェックしていた本が売れだすと、自分も嬉しい気持ちになる。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/)にて

更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

「おすすめ児童書」「おすすめの奈良本」4月号は、3月下旬に更新予定です!お見逃しなく!

おすすめ児童書

おおきくなったらきみはなんになる?』【講談社】 藤本ともひこ/文 村上康成/絵

すきなことをたくさんして、すきなものをみつけて、きみがやりたいことをやる。きっとできる!
作者が卒園式で語りかけてきた言葉を絵本にしたものです。
子どもたちの可能性は無限大。迷いながらも自分の足で歩いてほしい。
子どもたちへ送る応援歌です。

おすすめ奈良本
奈良傑作美仏大全』 【エイ出版社】 藤尾慎一郎・松木武彦/編 3月12日発売予定

 本書は歴史ある奈良に伝わる魅力あふれる仏像を、一冊の本にまとめてみました。奈良を訪ねたなら、絶対に見逃せない至宝を迫力の写真と専門家の解説でお届けします。

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