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FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 2019.2.1

2月号 2019.2.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣を身につける。

「世界100万部超のベストセラー」という帯に惹かれて、つい手を伸ばしてしまったのがこの1冊。
 「FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」(日経BP社)
 ビル・ゲイツ大絶賛の宣伝文句も気になったが、それよりも気になったのは裏表紙側の帯に載っていたクイズだった。
 では、ここで皆さんに質問。

 質問 いくらかでも電気が使える人は、世界にどのくらいいる? (A 20%、 B 50%、 C 80%)

 これは著者が作った、貧困、人口、教育、エネルギーなど、世界の基本的な事実にまつわる13問のクイズの一部。
 正解はC。三択のため、もし分からなくて適当に選んだとしても正解する確率は33%になるはずだが、正解率はこの値に届かない。問いかける相手は様々で、医学生、大学教授、科学者など、世間的に賢いとされるような人々でも、これは変わらないそうだ。
 なぜなのか。それは、10の本能が引き起こす思い込みにとらわれてしまっているからだと、著者は指摘する。

 著者が示す10の本能とは、「分断本能」、「ネガティブ本能」、「パターン化本能」、「単純化本能」、「焦り本能」などのことである。
 例えば分断本能。これは「世界は分断されている」という思い込みだ。正義と悪、先進国と途上国と言った、二者択一で私たちは物事を捉えてしまいがちである。だが、実際にはその間、中間が存在しているのである。
 私達のイメージする途上国と現実の光景はかなり異なる。そのため、途上国のことをイメージしながら本書を読み進めて行くと、想像していたイメージとの違いに驚くことになる。先進国と途上国の話にからんだクイズが他にもあるのだが、どの問題を解いてみても自分の思い込みに何度もはっとさせられた。内容はぜひ本書を読んで確かめて頂きたい。
 他にはパターン化本能というものがある。これはひとつの例がすべてに当てはまる、という思い込み。その方法は、本当に今の例にも当てはまるのか。別のものと安易に混同してはいないか。私たちは常に意識しておく必要がある。

 著者が示すのは事実に基づく世界の見方であり、私たちが意識せず、とんでもない勘違いをしてしまう可能性だ。だが、各章ごとにまとめられたファクトフルネスを着実に実践していけば、おのずと正しい世界の見方が身についていくはずである。

<今月の私の一冊>

日本語びいき

【中公文庫】清水由美/文 ヨシタケシンスケ/絵 ¥864

日本語は他国の言語に比べて難しいとよく言われる。だが日本語に限らず、母語ではない外国語を習得するには、ある程度苦労をともなう。母語と同じ言語圏で文法が似通っているのであれば習得も早いかもしれないが、文法が母語と異なるなら、日本語に限らずどんな外国語でも習得には時間がかかるはずだ。
すると日本語には漢字・カタカナ・ひらがながあるから、という話が出るかもしれない。だが、日本語にはだからこそ、ふりがなという手がある。最初にひらがなさえ覚えてしまえば、例え知らない漢字で駅名が書かれていたとしても、読むことができ、人に尋ねることもできる。
本当に日本語は特別難しいのか? 不規則に見えて意外と日本語は論理的、とする著者は日本語教師。国語教師と違うところは日本語を「外から見る目」を培っているところだ。日本語教師の著者ならではの視点が、日本語に新鮮な驚きを与えてくれる1冊となっている。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 外商部 社員 渡辺勝彦

 本の感想を人から聞くのが好きだ。
 自分が良く知っている本でも、知らない本でも、自分とは違った視点、価値観に触れるのが好きだ。
 最近、僕が買って帰った本を妻に読んでもらっている。
 彼女は日課として、毎晩風呂につかりながら本の音読をしているが、内容には拘りが無いらしく、薦めたらわりと何でも読んでくれる。
 真面目な人なので、拘りが無いわりに自分が読んだ本にはしっかりと感想を持つようで、風呂から出たら、あるいは朗読の合間に、あそこはどうだ、ここは何だと、思ったことを教えてくれる。
 横耳で聞いていた僕は、そういう感想になるのかと、驚いたり喜んだりする。そして、その本の背景を説明したり、調べたり、あるいは自分の感想を述べてみたり。
 そうしているうちに、ならば次はこれを読んでもらおうと自分では決して手を出さないような類の本を持ち、レジに並んでいるのである。

Chat&Chat

 「日本語びいき」によると、山道で帰りの道しるべのため、木の枝を折っておいたことから、しおりという言葉が生まれたそうです。漢字にすると「枝折る(しおる)」。今回初めて知りましたが、とても納得しました。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/)にて

更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

「おすすめ児童書」「おすすめの奈良本」3月号は、2月下旬に更新予定です!お見逃しなく!

おすすめ児童書

つらら』【ポプラ社】 細島雅代/写真、伊地知英信/文

つららを見たことありますか? つららってどうやってできるのかな?
寒ければ寒いほど、つららはできるという感じがしますが、実はちがうのです。
寒すぎず、暖かすぎず、ちょうど良い気温が大好きなんです。
つららの不思議さがよくわかる写真絵本です。
巻末には「冷蔵庫でつららが作れる実験ページ」と「つららの名前地図」も収録。

おすすめ奈良本
ここが変わる! 日本の考古学』 【吉川弘文館】 藤尾慎一郎・松木武彦/編 2月18日発売予定

 近年の考古学の発展を受けて、日本の古代史像が大きく変化してきている。縄文・弥生・古墳の各時代のはじまりをどうとらえるか、多様性をもった縄文文化の実態、格差や戦いが生まれた弥生時代、王宮の変遷からみえる古代国家の形成過程、自然科学的な分析の進展がもたらす成果など、第一線で活躍する考古学・古代史研究者がわかりやすく解説する。

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