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大人もはじめられる「13歳からのアート思考」 2020.6.1

6月号 2020.6.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

大人もはじめられる「13歳からのアート思考」

 “いま、あなたの目の前に、小さなタンポポが咲いているとします。

 そのタンポポはどんな姿をしていますか?

 できるだけ「完全なタンポポ」を「5秒間」で思い描いてみてください。” (本文より抜粋)

 

 今回ご紹介するのは、『自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』(ダイヤモンド社)。

 冒頭に登場するタンポポの話は、アートを捉える際の例え話として登場している。

 

 アートと聞くと、おそらく多くの人は絵画や彫刻作品といったアート作品を思い浮かべるのではないだろうか。しかしそれは本来のアートの一部でしかない。例えるなら花の部分だけを見ているにすぎないのである。

 冒頭の問いで地面に生えた黄色い花のタンポポを想像した方は、おそらくタンポポの根までは想像していないのではないだろうか。同じように私たちはアーティストが表現した花の部分だけを見て、地中深くまで伸ばされている根には目を向けていない。しかしアートにとっての本質は、興味関心によって伸ばされた根、作品が生み出されるまでの過程の方にある。

 

 アートとか敷居が高い、それに美術は得意じゃなかったから、と敬遠しそうになっているそこのあなた、少し待って欲しい。この本は作品を作ったり、絵画の見方を習う内容の本ではない。作品を作る際の、アーティストの思考についてスポットをあてた本なのである。

 著者によると、美術で本来私たちが学ぶべきことは、作品の作り方より、根本にある「アート的なものの考え方=アート思考」を身につけることであるという。本書は例として示されたいくつかの絵画作品を通して、自分の考え方、捉え方を見つめなおしていく。

 

 パブロ・ピカソの有名な言葉に「すべての子どもはアーティストである。問題なのは、どうすれば大人になったときにもアーティストのままでいられるかだ」というものがある。子どもの頃はみな新鮮な視点を持ち、自分の物の見方で世界を捉えていた。だが、13歳前後を分岐点に、それが失われていく。

 深刻なのは、人々が「自分だけのものの見方・考え方」を喪失していることに気づいてすらいないという今の現状なのだという。

 

 一見何のつながりもなさそうなことでも、自分の興味関心に素直に目を向けて掘り下げて行けば、いずれ伸ばして来た根はつながる。

 本書を読み終えた後は、あなたのものの見方・考え方がきっと根本から変わるだろう。大変読み応えあり。著者の用意している例題にチャレンジしつつ、実際手も動かしながら読み進めることをおすすめしたい。

<今月の私の一冊>

イラストでわかる ニッポンのサイズ図鑑科学の誤解大全 

【淡交社】 石川英輔/原作 淡交社編集局/編 ¥1650

日本古来より親しまれてきた寸、畳、石などの、バラエティに富んだ昔ながらの単位について歴史的背景や豆知識・わかりやすいイラストなどを交えて学ぶ。

例えば、『「1里」歩くのに、何分かかる?』これは道に慣れた人で一時間くらいという意味合い。

1里=約4kmと定められたのは明治時代と実はまだ比較的新しい時代。それまでは具体的な長さよりも「徒歩の旅にかかる労力」を示す身体尺として長らく使われてきたのだという。

また、畳のように、地域の住宅事情によってサイズが異なる単位も登場。人々の生活に根差して使われてきた単位は、私たちの体感に基づくものが意外に多いことに気づかされる。

うろ覚えだった単位の学びなおしにもうってつけ。本書を読み終えた後は、世界を測る「自分の物差し」が増えて、少しものの見え方が変わるかもしれない。

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫  郡山店 社員 加川洋子

 仕事が休みの日は出かけることが多かったが、コロナ自粛で予定がぽっかり空いた。

 さあこの貴重な時間を何に使おう。

 日頃「積読」状態の本を読みあさろうか?

 家仕事をさっさとかたづけて、さあ読むぞ!と椅子に腰かけた途端、娘からのライン。

 何かいや~な予感。 

 「自宅ワークになって、保育園もお休み。お願いします母上様」やっぱり..。

 以降私の貴重な休みは、絵本の読み語りが続いている。

 あっちゃんあがつく...。だるまさんが...。

Chat&Chat

 自宅の本の山がいよいよ山脈になり、本格的にスペースがピンチになってきたのでGW中に少し本を処分しました。雑誌はもちろん、情報の古くなってしまった新書や文庫、もう一度読み返すことはないと判断した本など。おかげで一山が消えました。

 しかし油断はまだ禁物。まだスペースがあると思うと、いつもそこに新しい本が入り込んでしまうのです。何故でしょう? 不思議です。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

はないきおばけとくちいきおばけ

【PHP研究所】 いまいかずあき/作 おおのこうへい/絵

 

呼吸のことを教えてくれる絵本です。

ほこりやバイ菌を体内に入れないために鼻呼吸が大切なこと。

口呼吸だと風邪をひきやすかったり、虫歯になりやすかったりすること。

そして、「あいうべ体操」をすると鼻呼吸が楽にできるようになるそうです。

「あいうべ体操」ってどんな体操かな?

あとがきには、作者の呼吸に関する解説があり、理解がより深まります。

外商部おすすめの奈良本

「神社検定」副読本 マンガならわかる!『日本書紀』

【扶桑社】

 全国約八万の神社を包括する神社本庁監修による「神社検定」は平成24年から始まり、毎年、テーマを設けて全国の会場で行われてきた。 いくつかの公式テキストがあり、その中から出題されてきたが、その副読本として初めて「マンガ入門書」が発売された。 『古事記』に比べて、どうしても難しいというイメージがつきまとう『日本書紀』。 この本は、『日本書紀』において神道的に重要なシーンを中心にマンガでストーリーを紹介し、その意味などは注で解説している。令和2年は『日本書紀』編纂から1300年の年だ。「入門書」よりわかる「入門書」がここに登場した!

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